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フェアリーテイルの終わり方
七幕 羽根がなくてもいいですか?
6幕
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た。
 フェイは反射的にジュードの背に隠れた。ジュードも腕を軽く挙げてフェイを庇ってくれた。

「面倒事は片付いたかい?」
「申し訳ないですけど、まだです。実験中に大精霊に逃亡されてしまって。これから探しに行くところです」
「そういえばバランが、大精霊クラスの実験がどうこう言ってたな……」
「はい。多分それです。まだ同行されますか? それとも」
「ここで一つの決着をつけるか――か」

 ユリウスがすばやく周りを見回す。ちらほらと研究員や警備員がいるヘリオボーグの玄関口。

「同行しよう。ここは騒ぎを起こすには向かない場所だ」
「ありがとうございます」

 ここに来てフェイのユリウスへの心証は「意外と悪い人ではないかもしれない」に変わりつつあった。ユリウスは今もヘリオボーグの職員を巻き込まないように配慮した。

「フェイ。セルシウスのいる場所、ここから分かる?」
「うん。ちょっと待って……、…………、……見つけた」
「どこ!?」
「あっち」
「えっと、地名でお願いできる?」
「リーゼ・マクシアのクク…ル? 凍…窟」
「リーゼ・マクシアまで行ったの!? ……あ、ごめんっ。今のはフェイに怒ったんじゃないから」
「……ヒトの形をしてても、精霊のモトは火とか水とか風とかだから。セルシウスは氷だから、氷がある場所なら、いつでもどこにでも顕れることができるんだよ。精霊って、そういうものじゃないの?」
「そうなんだ。――研究者なんてやってても、まだまだ何も知らないな、僕も」

 ジュードは寂しげに笑んだ。フェイはジュードの表情が自分のせいか聞きたかったが、何故か今までのように言葉にできなかった。
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