3章
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れる。
だが、ラウラは小さく声を絞り出した。
「それではエミヤシロウに負けている」
「もうすでに負けていますが…」
それは思わず出てしまった言葉だった。
確かに負けているのは事実だがこの発言はラウラの琴線に触れてしまったかもしれないとクラリッサは考えたが…
「…たくなかった」
「はい?」
小さな声でよく聞こえなかった。
それにラウラはクラリッサ達の方を向いていなかったのもあって声がよく聞き取れなかった。
「エミヤシロウに、負けたくなかった」
頬を少しだけ赤らめ、まるで年相応の少女のようだった。
しかも理由は負けず嫌いが原因。
隊は心を何かに撃ち抜かれた気がした。
より顔を赤くしたラウラは全員に向き直り、声を張った。
「私はこれよりエミヤシロウに奇襲を仕掛ける!
そして、これは命令ではない。だが、参加してもらいたい。
織斑教官と同等の実力の持ち主である奴との戦闘訓練は実力の向上に繋がると私は考える!
我らは負けた! あの夜手負いの奴に負けた! 何故負けた? 油断、ISがあるという慢心、男だからということもあるかもしれない。だがそれ以上に我らの訓練が足りていない! 実力が足りない!
…織斑教官にご指導していただいたが我らはまだまだ弱い。より強くなるにはご指導していただく必要があるが、それだけではない。
私達が努力し訓練し強くなることが必要だ。強くなるという向上心がより必要だ。
私は弱い。一人ではエミヤシロウに掠り傷一つ負わせることもできない。だが、隊の力をもってすればそれも可能なはずだ」
一度、間を置いて呼吸を整える。
赤くなった顔を今は真剣身を帯びて普段のラウラに戻っているかのようだった。
だが、何かが違う。
「…協力、してほしい」
言葉は足りないだろう。一瞬で自信がなくなったかのように俯いて、凛とした空気は消えてしまう。
だが、隊には一つの共通の思いがあった。
ラウラに協力を要請されるのは訓練以外では初めてだ。訓練でも隊を頼ることは少ない。それが今、隊に協力してほしいと言った。
命令ではない。
しかし、それがどうしたというのか。
ラウラに頼られたことが皆、嬉しかった。
これを口にすればラウラは動揺し意味を得ない言葉で否定するだろう。
だから、いつも通り。でも、少しだけ違うシュヴァルツェ・ハーゼで動くのだ。
「隊
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