3章
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この騒動が終わり、中佐達を連行する時に千冬がどこからともなく現れる。
「ほう、中々大事になってしまったな」
「企てた本人が何を言う」
この反乱… いや、中佐の独断による行動は千冬によって誘導させられたものだ。
エミヤシロウのこれからに対して釈放を上層部に勧めたのは千冬だが、中佐を含め幾人かは良い顔をしなかった。死人に口無し、殺してしまえば何も心配することがないと。
さすがにこの意見は却下されたが、ラウラのような試験管ベビーのこともある。エミヤシロウ本人は知らなかったが、もしも他の国などに知られればドイツはどうなっていたことだろうか。
その心配は一切なかったわけだが、不安に駆られた思考は加速する。
千冬はこれを抑えるためにこれまではエミヤシロウから離れることはなかった。しかし、いよいよ面倒… いや、抑えられる限界を迎え、いっそのことあぶりだしてしまおうという結論に至った。
「いいではないか。貴様にしてみれば命の危険が多少なりとも少なくなったわけだ」
「多少、か」
「多少だ。む、傷が開いたか?」
エミヤシロウの服に僅かに赤いシミ。
「そのようだ。まだ完治しないとは、やれやれ、情けない身体だ」
「少しは身体を労われ。常人なら半年はベットの上だぞ」
「人間離れしているのは理解している。包帯を換えてくる」
そう言ってエミヤシロウは医務室に向かって行った。
「さて、ラウラ。奴から一本は奪えたか?」
「いいえ…」
期限は今日中だが、この騒動ではそうもいかないだろう。
中佐をやったのは自分で、それに率いられた兵たちはシュヴァルツェ・ハーゼが制圧。ISを出してはいないが、聴取が今日中にあるだろう。
「時間はまだあるぞ。まだやっていない手段で一本取ってみろ」
ではな、と千冬は何も言わなかった。
ラウラはエミヤシロウにISを使ったことを咎められると思ったのだが。
「隊長」
その声はクラリッサだった。
「なぜ、隊長は我々を呼んだのですか?」
それはクラリッサだけではなく隊の全員の疑問だった。
ラウラはISを所持している。反乱は問題行動。これを制圧するためにISを使用したのであればラウラ一人で十分すぎる。隊を全員招集する必要性はどこにもない。
「ISも使用せずに制圧したのは見事です。エミヤシロウも同様ですが…
ですが、ISを使用すれば我々を呼ばずともより迅速にできたはずです」
今までがそうだった。
ラウラは隊の人間と行動を共にするのは作戦や訓練のみだ。千冬の存在があってこそこれまで続いてきた。
「確かにISを使えば簡単だった。だが… それでは…」
「それでは?」
珍しく言葉が途切
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