2章
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れ掛かる。
組み手は日を置いて何度も行われたが、7割負け越していた。
そして、その光景を見つめる瞳があることを私達は見逃してはいなかった。
エミヤシロウの眠る部屋に一つの影が現れる。
暗がりに見える微かな光はナイフ。それを足音、気配を悟られぬように静かにベットに近付く。
ベッドの横に立ち、片手を振りあげ――――下ろした。
「――――!?」
「動くな」
声は―――男のものではなかった。
そして唐突に部屋に明かりが灯される。
「…ラウラ、何をしている」
「…」
ラウラ・ボーデヴィッヒ。
シュヴァルツェ・ハーゼ隊長。
その顔はエミヤシロウに向けて憎悪を向けていた。
尊敬する織斑千冬が負けた。男に… 教官の弟と同じ男に。
泥を塗られた。教官が私を見なくなった。興味の対象がエミヤシロウに向いた。
ラウラの心は全く余裕がないほど、エミヤシロウを排除するということしか考えられなかった。
後のことは考えず、ただこの男を排除することだけ。
その様子に千冬は呆れたように溜息をつく。
「ラウラ、お前…」
その声が耳にはいった。
ようやく、ラウラはナイフを離し、悔し気に俯く。
ラウラは思う。これで私も用無しの道具かと。
「何故気配を部屋の前から消さない」
「…?」
千冬が言った意味を良く理解できなかったのか、珍しく困ったような表情をする。
「殺すまで行かなくとも奇襲をするというのであれば気配はするときに消すのではない。始めた時から消しておくものだ。
わざわざ監視カメラを押さえてまでやったのだ。やるなら徹底的にやれ」
まさかの千冬からの許可にますます意味がわからなくなってきた。
「そうだな。部屋の前からでは意味がない。
加えて、スライド式の扉とはいえ音が出る。奇襲を企てるならもう少し場所を選ぶべきだったな。視界を確保するのなら暗闇に目を慣らすのに時間が短い」
なにもなかったかのようにエミヤシロウが壁際にいた。
ラウラはエミヤシロウが嫌いだが、その顔にはもっと嫌いになるようなニヤニヤとした笑みが貼り付けられていた。
「ベットの中身もよく考えた方がいい。いや、私をどうにかすることで頭がいっぱいだったか。冷静になればベットの中に誰もいないことは訓練中の君であればわかっただろうに。
今度は場所と状況を見定めて奇襲をするといい。成功率が上がる」
今度は襲われた本人が助言。いよいよラウラは本気で困ってきた。
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