暁 〜小説投稿サイト〜
科学と魔術の交差
2章
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の身体が錆びてしまう。

「…私は一応、侵入者なんだが」
「侵入して何か利があったわけでもないだろう。
 それに、貴様は国籍不明。どこに行くこともできず、どうすることもできないここのお荷物だ。どうせなら私が有効に利用してやろうというわけだ。
 貴様もそろそろ身体を動かしたくて仕方ないだろう」

 部屋の中で筋トレのように身体を動かしているのは知っている。
 
「…私が君を人質に逃げるという可能性は考慮しないのかね」
「そんなことができるなら貴様はすでにここにいないだろうさ」

 過大評価出なければこいつは私と同等の実力はある。もしくはそれ以上。
 ISを生身で倒せる何かを持っている何かを持っていることは確かだ。それがどんなものにしろ、こいつほど今の私に必要なものはない。

「わかった。引き受けよう」
「よし。ならばついてこい。監視はつくが問題は無いだろう」



「…」
「…」

 お互いに袴姿。
 動きは無く、お互いを見定めるように自然体。

 こいつ… 本当に何者だ。
 対峙して改めてわかる威圧感、存在感は普通ではない。
 隙がない。迂闊に踏み出せない。私を見定めるその眼がこちらの命を掴んでいるようなそんな錯覚。

 しかし、隙がないなら作り出すまでだ。

 踏み出し、組にかかる。
 その手を奴は払い、こちらはすぐに次の手に移る。

 当て身、組、合気。
 それらを奴は防ぎきる。なるほど、優れた防御だ。だが、ずっとそれでは…


 隙ができる。
 が、私はそこに手を出さない。
 すぐに手を出してはいけないと、勘に似た何かが警告を発する。

 奴の一瞬の驚き、しかし、一瞬だ。叩き伏せるほどのものではない。



 五分もすると、息が上がり始めたのは私の方だった。
 思った以上にこいつの威圧が精神的に来たということだろうか。まだ余力はあるが、奴はまだまだだろう。

 だが、それに油断するがいい。その時が私の勝利に繋がるのだから。


 そしてその時が来た。
 大きくつきだされた左手。重心が前に出すぎだ。
 これに合わせて投げる――――はずだった。

 投げの体制に入った身体が固まる。いや、止まる。
 この動揺に奴は左手を回し、私の手を掴み投げる。投げられ、体制を崩した時にはすでに関節は極められていた。








「…私の負けか」
「いや、素晴らしい動きだった。油断をすれば負けていたのは私だろう」

 大きく息を吐く。
 私が思って以上に奴も消耗していたようだった。汗は流れていないが、身体に熱は生まれた。

「まだ続けるか?」
「いや… 私の方が限界だ。傷が痛む」

 そんな感じを一切出さずに、壁際にもた
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ