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科学と魔術の交差
1章
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をかける。







 月光が雲を抜けて降り注ぐ。







 照らされた男は… 血濡れの騎士だった。







 その手には何も握っていない。だが、滴る血は途切れることを知らない。
 ここまでの戦闘でよくも倒れなかったものだ。ずっと出血があったとすれば動いていたことも含めて出血多量で死にかねん。

 銀髪すら血に染め、紅い外套は赤黒く、鷹のように鋭い眼はこちらを射抜かんとするように。

 
 だが、こちらにもこちらの事情がある。

「腕の一本は覚悟してもらおう」

 

――――男はこちらを馬鹿にするように笑った。















 結果だけを言わせてもらおう。
 私が勝った。いや、私の勝利は必然だったか。

 男はすでに満身創痍。どんな手品を使ったかは知らないが、一瞬で二振りの剣を構えた。
 
 私が踏み込み、居合の要領で刀を抜く。
 男が防ぎ、カウンターを狙うだろう――――と思われたが…

 すでに限界を迎えた男の身体は力なく私の刀に切り裂かれた。
 幸い、剣が軌道を変えたことによって浅くも深くもない程度の傷にとどまったわけだが。

 問題は出血の方だった。
 男は生死の境を彷徨ったことだろう。私の刀傷を抜きにしても… いや、止めを刺したのは私か。

 止めを刺そうとしたラウラ達を止め、ドイツ軍の治療施設に搬送。
 現在は集中治療室で銃を構えた奴らに囲まれて生死の境で寝苦しさを覚えていることだろう。




 男は、身分を記すものは何一つ持っていなかった。
 その身一つ、持っていたのは白と黒の剣だけ。私の刀をもってしても刃こぼれ一つせず、むしろ葉が欠けたのはこちらだった。
 かなりの業物と見受けられたが、今は厳重にドイツ軍に保管されている。

 それにしても時代錯誤な格好だ。
 紅い外套、胸から肩にかけての鎧、そして剣。
 銃すら持っていなかったのに絶対防御を発動させた何かをあの男は持っているはずだが、何も持っていない。剣が二つだけだ。その剣は確実にISではないし、鍛えられた物だということははっきりしている。




 さて、そろそろ二週間だが目を覚ましてもらわないと面倒になってきたな。
 主に私が質問したいことがあるというのにここまで寝られてしまうとつまらない。
 平手の一発でも食らわしてやれば起きるのだろうか?


 あぁ、忘れていたが奴の怪我は銃によるものだとわかった。シュヴァルツェ・ハーゼの者ではないが、全部で5発。背、胸、足に確認された。
 よくもあそこまで動けたものだと感心するが、呆れはそれ以上だ。

「教官」

 扉の向こうから声
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