第二話 「宇宙の彼方にカレーパンを」
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、アランシアは驚いてこちらを見る。
彼女は多くの人に迷惑をかけたかもしれないが、それらの行動は全て、家族を思ってやったことだ。私利私欲に走った、典型的な犯罪者ではない。
しかし、春香は首を横に振る。
「ダメだ。彼女が犯罪に加担したのは事実。理由があれば罪を犯してもいいとなれば、宇宙の治安など守れはしない」
「そんな……」
春香の厳しい言葉に、アランシアは再び顔を曇らせる。
彼女の言うことも、もっともなのだ。
いかなる理由があろうと、アランシアが罪を犯したことに変わりは無い。
だがその後、春香は意外な一言をつぶやいた。
「まあ、執行猶予1週間は確実だな」
「……へ?執行猶予?」
「ああ、懲役1年、執行猶予1週間が妥当だろう」
春香の口から出た言葉は常識では考えられないほどの、罰の軽さだった。
「そ、そんなんでいいのか?執行猶予1週間て……」
「いいも何もこの程度の規模の犯罪であれば、私の一存で量刑を決められる。言ってなかったか?」
「初めて聞きました……」
「宇宙では今回を遥かに凌ぐような犯罪が、数え切れないほど発生している。いちいち拘置所に犯人を送ったり、裁判をしたりする暇は無いんだ」
だから宇宙刑事には、量刑判断の権限が与えられているんだと、春香は言う。
「やったことと言えば、カレーパンを宇宙に流した程度だからな。さっき購買の人から聞いたが、ちゃんとお金を払って手に入れたようだし、それ程の重罪でもない」
「いいのかそれで……」
「いいんだ、これで……」
それを聞くとアランシアは、何度も何度も頭を下げて、
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
と言った。
――1週間が経った。
当たり前だが、あれだけの騒ぎを起こせば学校も大騒ぎになった。
しかしそんな時は春香のイヤリングの出番。あっという間に事件を目撃した人の記憶を消し、建物を修復。全てを無かったことにした。
あのロボットはどうしたかというと、二つとも没収。
春香のはビームショットガン以外があまりにもお粗末な性能なので、宇宙粗大ゴミ行。
アランシアのは逆に、あまりにも高性能の改造が施されていたので、研究対象としてどこかの星へ送られたらしい。
ともあれ、今日もまた学校だ。教室に入り、席に座る。
春香も学校に慣れて友達も徐々に増えているらしい。
顔と外面の雰囲気は美少女そのものだから、1週間経っても人気なのは変わらず。いや、むしろ上昇中だ。今日も春香の机には女性とが集まっている。
「今日も平和だ〜……」
日常の平和をかみ締めているところへ、幹也がやってくる。
「よう冬二!春香ちゃんとはよろしくやってるか〜?」
「よろしくやってるって何だよ……別に、なーんも
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