第二話 「宇宙の彼方にカレーパンを」
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分が悪いと思ったときは素直に謝る、そんな態度に面を食らって、許してしまった。
(まあ、泣き顔が予想外に可愛くてつい興奮してしまった、というのもあるけど……)
行動や言動はハチャメチャだが、根はまっすぐないい子なのだろう。
「しかし冬二に迷惑をかけたことには変わりない。何かお詫びをしたいのだが……」
「いいって、俺のことよりまず学校に慣れることを考えて――」
グゥ〜〜〜。
朝から春香の案内で歩き詰めだったので、自然とお腹が鳴ってしまう。
彼女はその音を聞いて、にっこりと微笑む。
「――お詫びに何をするか、決まったな」
「……そうだね」
知らなかった。女の子にお腹の音を聞かれることが、こんなに恥ずかしい事だなんて。
「ここが購買部か。中々賑わっているじゃないか」
西館1階の中程、昇降口と階段に挟まれる形で購買部がある。
昼食を買う生徒達が我先にと押し合い圧し合いをしており、受付のおばちゃんは慣れた手つきで、素早く生徒達の会計を済ませている。
「さあ、遠慮は要らない。いくらでも好きなものを買うといい」
春香は先ほどのお詫びに昼食を奢りたいと申し出た。
女の子に奢ってもらうのは男としてどうかと思ったが、春香がどうしてもと言って聞かないので、結局素直に従うことにした。
「そうだな。んじゃ、よいしょ、よいしょ――」
生徒達を押し分けて今日の売り出し商品を確認する。
普通、この学校の購買に列はできない。受付の最前列にいる生徒も実は品定めをしているだけという場合が多く、買う商品が決まり次第、生徒を押し分けて受付で会計をする。そんな暗黙のルールがあるのだ。
「じゃあまずはカレーパンを……ん?んん?」
「どうした?冬二」
「いや、またカレーパンが売り切れてるなぁと思って」
パンを入れているカゴに、『本日カレーパン売り切れ』と書かれた紙が貼ってあった。
最近、好物のカレーパンが毎日売り切れている。特に人気商品というわけでもないのだが、一ヶ月ほど前から売り切れる日が続いている。
「カレーパンが売り切れ……まさか――」
突然、春香が真剣な面持ちになる。顎に手を当て、考え事をしているようだ。
「どうしたんだ?」
「私が逃走した宇宙犯罪者を捕まえるために地球に来たのは、前に話しただろう?実はその犯罪者の中に、カレーパンの密輸犯もいるのだ」
「……は?カレーパンの密輸?」
いったいカレーパンのどこに密輸する要素があるというのか。
それとも宇宙人にとってカレーパンは、地球のイケナイお薬的な効果を持っているのだろうか。
「ああ、私達宇宙人の間ではカレーパンは非常に高値で取引されていてな。特に地球産のカレーパンは高級品として富裕層に人気があるのだ
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