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少年少女の戦極時代
第53話 一人はみんなのために
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どうでもいいってことじゃん」
「ことじゃん」

 またインヴィットの女子二人がイヤな穿ち方をしてきたが、これにもヘキサが平然と答える。

「場所取りの勝負なら、あれ以来よく、いどまれましたよ?」
「こいつらに勝って有名になってからしばらくは、うるさかったわね。ダンスのウデでバトってたの」

 こいつら、とナッツはザックとペコを親指で差した。

「ダンス?」
「うん。その場でダンスして、拍手多かったほうの勝ちって。なー」
「「ねー」」

 カルチャーショック。まさに舞を襲った感覚はそれだった。舞だけでなく、ザックやペコ、他2チームのメンバーもまじまじと子供たちに注目した。

 ビートライダーズはそもそもストリートダンサーが徒党を組んだものだ。ここ数ヶ月でインベスゲームにライダーバトルと新しい様式が次々出てきたから忘れていたが、舞たちは本来ダンサーだ。ダンスで戦うのはしごく真っ当だ。

(あたしたち、今まで何やってたんだろ……)

 インベスゲームで勝つこと、アーマードライダーとなった紘汰と光実に勝ってもらうこと、いつしかそれらが舞の中で当たり前になっていたことに、舞はようやく気づいた。

「ねえ、チームバロンさん」

 ヘキサがザックとペコの前に回り込んで彼らを見上げた。

「ずっと上を目指すバロンの人たちのシセイ、とてもステキだって思います。でも、だれも観に来ない『一番』は本当に『一番』なんでしょうか?」

 言うだけ言って、ヘキサは輪の中心に戻ってきた。

「じゃあ何だよっ。お前らリーダー無視してチームの方針決めんのかよ!」
「それがわたしたちのチームのため、わたしたちビートライダーズみんなのためになることなら、リーダーは帰ってきても絶対反対しません。わたしたちが咲を信じるように、咲もわたしたちを信じてくれてますから。信じてもらえたわたしたちは、よいよいと思える判断をみんなで下しただけです」

 誰もが呆気にとられる中、ヘキサを中心に、リトルスターマインの全員が力強く笑んだ。
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