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八条学園怪異譚
第五十二話 商業科の屋上その十六
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いらないな」
「はい、山があれば登る」
「知らない場所に行く、ですね」
「それで充分だ」
 何故探検家や冒険家が探検し冒険をするのか、それはそこに未知のものがありそれがどういったものか知りたいからだ。
 だからだ、彼等は行くのだ。そして二人もまた。
「私達も結局そうだと思います」
「ですから」
「そういうことだな、ではだ」
「はい、それじゃあ」
「見つけることにします」
 それだけでいいとだ、二人はいいとわかった。そうしてだった。
「じゃあ次は空手部の道場に行きます」
「あそこに」
「行って来てね。私は基本ここにいるから」
 ミレッラはにこりと笑って二人に告げた。
「そういうことでね」
「はい、それじゃあ」
「私達は探します」
 二人もミレッラににこりと答えてだった、そうして。
 二人は次の泉の候補地に向かうのだった、泉の候補地はまだあるがそれは次第に少なくなってきていることも確かだった。
 それでだ、愛実は帰り道に聖花にこう言ったのだった。
「あと少しだから」
「諦めないでね」
「泉見つけようね」
「ええ」
 聖花は愛実のその言葉に笑顔で頷いた、そして愛実に皆が言う様な母親気質も見出したのであった。そのことにも笑顔になる聖花だった。


第五十二話   完


                          2013・10・1
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