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久遠の神話
第七十四話 実った愛その十

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 それでだ、彼は由乃にこう言ったのだ。
「違うか」
「いいんじゃない?別に」
 由乃はその広瀬に微笑んで述べた。
「それでね」
「もう俺達の考えは決まってるからか」
「ええ、だからね」
 二人の意志は決まっている、それならというのが今の由乃の考えだ。
「後はね」
「俺の親父とお袋だけか」
「私のところはもう決まってるからね」
 由乃の両親はというのだ。
「だからね」
「そうだな、だからな」
「そう、広瀬君のご両親だけだから」
 決断をしていないのは、というのだ。
「もう少しね」
「そうだな、俺のところだけか」
「お父さんとお母さんはもう決めてるから」
 由乃は広瀬を見てこう答えた。
「それはもうわかってるわよね」
「ああ」
 そうだとだ、広瀬は肉を焼きながら由乃に答えた。バーベーキューであるが肉は焼肉用のものが多い。牛だけでなく豚や鶏、羊もある。
 ラムを焼きつつだ、彼は言うのだった。
「もうな」
「そうよね、だからね」
「後はか」
「本当に広瀬君のご両親だけだから」
 由乃はここでその広瀬の両親を見た、二人は由乃の両親が事前に焼いていた肉を食べ大ジョッキでビールを飲みつつ応えていた。
「それで私達はね」
「一緒になれるか」
「そうなるからね」
「本当にあと少しだな」
「ご両親は大丈夫なの?」
「俺の両親は子供の相手にはだ」
 その伴侶には、というのだ。
「求めることは一つだ」
「それは何なの?」
「性格だ」
 それだというのだ。
「相手の職業や人種は問わない」
「リベラルっていうの?」
「寛容と言うべきか」
 それになるのではないかというのだ。
「そうしたところはな」
「寛容ね」
「性格がどうかだ、過去も問わない」
 そちらも大丈夫だというのだ。
「だからな。このままいけばな」
「安心していいのね」
「俺はそう思っている」
 自分の両親を観ながらの言葉である。
「それも確実だとな」
「ならいいわ。じゃあ私達はね」
「今はこうしてか」
「もうお父さん達は自分のお肉やお野菜があるから」
 木の重厚な、ログハウス調のテーブルの上には四人でも食べきれないのではないかという位の焼いた肉と野菜がうず高く積まれている、全て由乃の両親が焼いたものだ。しかもビールは大ジョッキになみなみとある。
 そうしたものを見てだ、由乃は広瀬に話すのだった。
「私達はね、お父さん達は気にしないで」
「俺達でか」
「そう、自分達で焼いていってね」
 その肉や野菜をだというのだ。
「それとね」
「これだな」
 広瀬は缶、一リットルのそれを開けながら言った。八条グループのメーカーが出している八条ビールである。
 それの缶を開けて飲みながらだ、彼は言った。
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