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最高のタイガース=プレイヤー
第三章
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まだ結構な値段がした。もっとも今安くなったのはその神戸牛が出回っているからでなく輸入肉のせいであるが。
「それを食いに行こうか」
「川藤はそういうのを色々と知っているんだね。特に甲子園の周りで」
「ここがわしの家みたいなもんやからな」
 そうバースに応えて言う。
「そら色々と知っとるわ」
「ここが全部川藤の家なんだ」
「そういうもんやっちゅうこっちゃ」
 またバースに告げる。
「阪神が好きやから。色々知ることができたんや」
「阪神が好きだから」
「バースも阪神好きやろ」
 ここで不意にバースに尋ねてきた。
「このチームが」
「うん」
 そしてバースは川藤のその問いに素直に答えるのであった。ストレートにはストレートといった感じであった。
「球場もいいしそれに」
「それに?ファンか」
「うん、彼等が一番好きだよ」
 そう川藤に答えるのであった。
「あの凄い応援が。あんなのはアメリカにもないよ」
「そやろな。ここのファンは特別や」
 川藤はバースのその言葉に目を細めさせた。彼が何よりもわかっていることだからだ。
「だからわしはここにずっといたい」
「ずっとなんだね」
「今まで色々見てきたで。けれどその中で」
 またバースを見る。目がさらに温かくなっていた。
「御前は完全に阪神の選手になってるな」
「僕は阪神の選手だけれど」
 川藤の今の言葉に少しキョトンとした顔になった。
「もう。それなのに?」
「ちゃうちゃう、わしが言うのは本当の意味でや」
 また温かい声でバースに言うのだった。
「バースはほんまの阪神の選手や。もう助っ人やあらへん」
 こうまで言う。助っ人はあくまで助っ人、だがバースは阪神の選手になっていると。そうバースに対して述べたのである。
「御前巨人をやっつけるとするやろ。どうする?」
「それは決まっているよ」
 バースは何を今更といった顔で彼に応えた。
「真っ先に行ってやっつけるよ。巨人だけはね」
「そういうことや」
 川藤は今の言葉に大いに頷くのであった。彼が言いたいのはそれなのだ。
「巨人をやっつけるのは阪神にとって永遠の仕事や」
「そうだね」
 これは今でも変わることがない。関西では巨人ファンには一言で言うと人権がない。甲子園の一塁側で巨人を応援するということは死を意味する。
「そこで真っ先に行くのが阪神の選手なんや」
「そういうことだったんだ」
「バース、御前がいてくれてええわ」
 川藤はまた温かい目になった。そうしてまたバースに語る。
「御前と一緒に最高の酒が飲みたいな」
「じゃあ今からだね」
「今からだけとちゃうで」
 これが川藤の本音であった。
「これからも。それからもや」
「僕も川藤と一緒に飲みたいよ」
 バースもそれに応えて言う
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