第一章
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神になくてはならない存在になっていた。六月になって別人のようにだ。
「いつも六月までは駄目なんだ」
それが彼の言葉であった。
「けれど六月になってからはいつもこうなんだ」
そういうことであった。それ以降彼は打ちまくった。まさに助っ人であった。
「頼りにしてええかな」
「ええんちゃうか?」
ファン達は今の彼を見て言う。丁度夏場だった。阪神限定の辛い期間である。甲子園を高校野球に貸し出す為にロードになる。人はこれを『地獄のロード』と呼ぶ。ここで阪神はいつも負けるのである。阪神だけにある素晴らしいハンデである。
「しかも夏でも打つし」
「今年はな」
まだ悲観的なファンはここで今年は、と言った。ここにも問題があった。
一年目活躍した助っ人は研究されるのが常である。それで翌年からはそれを集中的に突かれて封じられる。それもプロではよくある話だ。極端な例では日本シリーズでそれが行われる。とにかくそれで潰れる助っ人が実に多いのである。
「来年はどうかな」
「来年か」
「あかんかも知れんで」
彼等はそれを心から心配していた。
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