第四章
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てそのうえでまた二人で店に入った。この日は寿司だった。やはり酒は飲まずにカウンターで並んで寿司を食べている。
「どや。言う通りになったな」
「あのことでっか」
「そや。わしの言う通りになったやろ」
微笑んで野村に言ってきたのだ。彼の隣に座ったうえで。
「最高の花道やったやろ」
「何でこんな終わりになるんやって思ってますわ」
野村は笑って西本に言葉を返した。
「わしみたいなモンは石持て追われるのが関の山なんですが」
「だからそれはちゃうんや」
西本も笑って言う。
「御前はああいう花道を送るべきやったんや。それでや」
「そうなんでっか」
「そや。御前はそれだけの野球人やった」
そうして。こうも彼に告げた。
「人間やったんや」
「何か。すんまへんな」
野村は西本の今の言葉にほろりとなった。だが涙は見せずに述べたのだった。
「わしのことをずっと気にかけてくれて」
「気にすることはないわ。じゃあ次は何食う?」
「ほなトロでもいきますか」
「そうやな。じゃあわしもそれをもらおうか」
二人はそれぞれ同じものを注文した。そうして並んで寿司を楽しむ。最高の花道を飾った月見草は今静かに笑って不世出の闘将と共にいた。最高の野球人同士として。
月見草 完
2009・11・4
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