暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
矢車草の名を持つ者
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(こだち)》は度重なる連戦にも拘らず、いつも通りの切れ味を敵の身に刻みつけた。一の太刀で二人の首が一度に刎ね飛ばされ、続く二の太刀で背後から片手斧を振り下ろそうとしていた腕を肩口から断ち切り、三の太刀で左脇腹から右肩までを一気に断った。

悲鳴もなく。

声もなく。

静かに、音もなく地面に倒れた数個の肉塊に、レンはもはや何の感慨も浮かんでは来なかった。

ただ、モノを数えるかのように、あと数匹、と思っただけだった。

残るは、奥のほうで偉そうにふんぞり返っていたリーダーと四人の幹部を残すのみとなっていた。最初の方は、天から降って沸いた名誉獲得のチャンスとばかりにニヤケていたリーダーの顔は、今や澄み渡るお空のように真っ青だった。

小動物のように震えるその目を真正面から見、レンは口を開く。

威圧するまでも、惑わすのでも、魅せいるまでもなく、ただ普通に言う。

「ちょっとは()()()出してくれなきゃ困るなァ、モルモット風情が」

しかしそれは、リーダーを威圧するにも、惑わすにも、魅せいるにも充分すぎた。

ビクリと肩を震わせたリーダーの顔を見、少年は笑う。

鬼のように笑い、修羅のように嗤う。

その笑みに、その嗤いに、リーダー以下幹部達は、もうすでに《喰い千切られて》いた。

リーダーは思う。

残り少ないであろう命が辿ってきた軌跡を、走馬灯のように回想しながら。

どこで間違ったのだろう、と。

いや、間違ったのだと言うのなら、初めからだったのだろう。

そもそも、目の前のこの少年がココに攻めて来るという事が直前に分かった時点で、ギルド総出で適当な階層にトンズラするべきだったのだ。

《冥界の覇王》――――《冥王》と呼ばれるだけの所業を、この少年は一人でしてきたのだから。

死体を踏みつけ、四肢を刎ね飛ばし、累々と積もった屍の上に屹立して高らかに哄笑するほどの、SAO始まって以来の廃人であり狂人。

こうして向かい合っているだけで感じる、圧倒的な威圧感。

冷や汗だけでなく心臓も一緒に飛び出そうな激甚な情報圧。

それらに圧倒され、リーダーは堪らずに口を開いた。開いてしまった。

「ふ、フ………ザけんな。クソガキが」

どうしようもなく震えてしまったけれど、どうにか搾り出せたその言葉は沈黙していた空間に時間というものを思い出させるには充分過ぎるものだった。

自分同様、紅衣の少年に呑み込まれていた幹部達も、頭を振りつつ正気を取り戻す。

―――大丈夫だ。ペースは完全に向こうに渡っちまったが、まだヤレる。取り戻せる。

「ハ、ハハッ!下っ端どもを幾らか狩ったところでイイ気になンじゃねぇよ!こっちは五人、お前はたった一人だろーがッ
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