第2章 赤龍帝と不死鳥の騎士団
第17話 激おこ
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ら、家族たちの気配りに気づいただろう。
しかしながら、このとき彼女は、深く反省して気落ちしていた。
それゆえに、空気の変化に気づくことなく、逆襲を企む料理人となっていた。
仮に、家族たちの心配りに感づいていたら、申し訳なさでいたたまれなくなっていたはずである。 危機迫る顔で、一心不乱に手を動かし続けるはやてを見て、思わず笑みが零れてしまうのは仕方ないだろう。
(だが、話を聞く限り、マスターの様子は『異常』だ)
叱られて、泣きながら謝る姿。
打って変って、楽しそうに料理する姿。
その姿は、年相応、あるいはそれ以下の年齢にみえる――実際、変身魔法を解けば、9歳児相当の身体である――が、彼女は本来もっと大人びている。
部室でのライザー・フェニックスとの一幕だって、普段の彼女なら冷静に回避して見せただろう。
(原因不明の感情。いや、衝動、か。どうにもひっかかる。これが、『虫の知らせ』というやつだろうか。デバイスの私に『勘』などというあやふやなものがあるのか不明だが)
はやては、本来、好戦的な性格ではない。
力を求めたのも、『家族と暮らす平穏な日常を守るため』に過ぎない。
(少し前、アーシア・アルジェントが悪魔化したときの様子もおかしかった。あれ以来、彼女とは距離を置いているらしい。だが、悪魔化はマスターから言い出したことだ)
アーシア・アルジェントとライザー・フェニックス。
両者に共通点はないように思える。
もし、あるとしたら――
(――――二人とも『悪魔』という点だな)
◆
ヴィータはリインフォースから受けた相談について考えていた。
確かに、ライザー・フェニックスの挑発にあっさりひっかかったのは腑に落ちない。
何かがおかしい。が、それが何かは分からなかった。
「ナイスショット、ヴィータちゃん」
「ん、ありがと」
つらつらと考えつつ、かけられた言葉に照れたように返答する。
いま、ヴィータはゲートボールをしていた。
近所のご老人とともにゲートボールに興じるヴィータは、マスコット的存在だ。
ヴィータ本人もゲートボールが気に入っていたし、ご老人とのつきあいも楽しんでいた。
はやての言う原作とやらでも、ヴィータは同じようにゲートボール好きだったらしい。
(確かに、原作と合致する点は多い。だが、それに足をすくわれることだってありえる)
「つぎは、じいちゃんの番だぜ」
思考の渦にのまれつつも、何事もないように会話する。
マルチタスクはつくづく便利だな、と内心つぶやく。
ライザー・フェニックスが居たあの場にいなかったのは失敗だった。
護衛も
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