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『八神はやて』は舞い降りた
第2章 赤龍帝と不死鳥の騎士団
第17話 激おこ
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ら、家族たちの気配りに気づいただろう。
 しかしながら、このとき彼女は、深く反省して気落ちしていた。
 それゆえに、空気の変化に気づくことなく、逆襲を企む料理人となっていた。
 仮に、家族たちの心配りに感づいていたら、申し訳なさでいたたまれなくなっていたはずである。  危機迫る顔で、一心不乱に手を動かし続けるはやてを見て、思わず笑みが零れてしまうのは仕方ないだろう。


(だが、話を聞く限り、マスターの様子は『異常』だ)


 叱られて、泣きながら謝る姿。

 打って変って、楽しそうに料理する姿。


 その姿は、年相応、あるいはそれ以下の年齢にみえる――実際、変身魔法を解けば、9歳児相当の身体である――が、彼女は本来もっと大人びている。
 部室でのライザー・フェニックスとの一幕だって、普段の彼女なら冷静に回避して見せただろう。


(原因不明の感情。いや、衝動、か。どうにもひっかかる。これが、『虫の知らせ』というやつだろうか。デバイスの私に『勘』などというあやふやなものがあるのか不明だが)


 はやては、本来、好戦的な性格ではない。
 力を求めたのも、『家族と暮らす平穏な日常を守るため』に過ぎない。


(少し前、アーシア・アルジェントが悪魔化したときの様子もおかしかった。あれ以来、彼女とは距離を置いているらしい。だが、悪魔化はマスターから言い出したことだ)


 アーシア・アルジェントとライザー・フェニックス。
 両者に共通点はないように思える。
 もし、あるとしたら――


(――――二人とも『悪魔』という点だな)





 ヴィータはリインフォースから受けた相談について考えていた。
 確かに、ライザー・フェニックスの挑発にあっさりひっかかったのは腑に落ちない。
 何かがおかしい。が、それが何かは分からなかった。


「ナイスショット、ヴィータちゃん」

「ん、ありがと」


 つらつらと考えつつ、かけられた言葉に照れたように返答する。
 いま、ヴィータはゲートボールをしていた。
 近所のご老人とともにゲートボールに興じるヴィータは、マスコット的存在だ。
 ヴィータ本人もゲートボールが気に入っていたし、ご老人とのつきあいも楽しんでいた。
 はやての言う原作とやらでも、ヴィータは同じようにゲートボール好きだったらしい。


(確かに、原作と合致する点は多い。だが、それに足をすくわれることだってありえる)


「つぎは、じいちゃんの番だぜ」


 思考の渦にのまれつつも、何事もないように会話する。
 マルチタスクはつくづく便利だな、と内心つぶやく。
 ライザー・フェニックスが居たあの場にいなかったのは失敗だった。
 護衛も
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