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月見草
第三章
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も優勝させてきた名将の言葉である。
「けれどそれは何時か終わるからな」
「そうですやろか」
 今の野村には信じられない言葉だった。阪神の監督時代は散々叩かれそしてスキャンダルに巻き込まれて石もて追われたからだ。それが自分に相応しいと自嘲してもだ。それでも内心辛く苦しいのは否定できなかったからだ。背中を丸めて西本の言葉を受けていた。
「わしは今は」
「まあ機会は来るわ」
 だが西本はその野村に言うのであった。
「絶対にな。御前はずっと努力してきた」
「はあ」
「努力は絶対に報われるもんや。だから待つんや」
「わかりました」
 西本の言葉に静かに頷く野村だった。だが彼はそんな機会が来るとは全く思えなかった。しかしその時は本当に来たのであった。
 新たにできた東北楽天ゴールデンイーグルス。その球団の監督に招かれたのだ。
「ホンマかいな」
 野村はその話を聞いた時まずは驚いた。

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