第九十話 嘘と心
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の一駒らしい。彼らは不沈艦アークエンジェルの横腹を狙い撃つという大層な役割を貰っていた。
「ザンジバル級が落とされても時間を稼げればよし、逆に落としたとしてもそれはそれでよし、ね……可哀想なことで」
単純なことだ。ザンジバル級はただの足止めに宛がわれた。おそらくだが、次のネオ・ジェネシスでアークエンジェルを落とすのだろう。一発目は宣戦布告、二発目はミネルバ側に対して向けた囮、そして次の三発目が本命ということだ。
「そりゃ二発も外せば多少は気が緩むだろうね」
ネオ・ジェネシスは二発ともまともに成果を上げていない。それだけ聞けば大抵の者はその脅威を数値の上では理解しても気を緩めるはずだ――――何だ、大したことないじゃないか、と。その脅威を理解していても人はそれを容易く忘れる。忘れないというのであれば、戦争など起こるはずもないのだから。
「怖いね、本当に怖い人だ。相手の心理を上手く見抜いているよ、議長は」
多分自分も掌の上で転がされているのだろうと考えるクラウ。それを理解した上で何もしないのは、何とかできると思っているからではなく、踊らされて自分がどうなろうと大して気にしていないからだ。そういう意味では伊達に十六回も転生しているわけではない。
そして、おそらくだがクラウが自身の身を顧みないことに対しても議長は理解している。だから捨て駒に近いような役割も与えられるし、クラウはそれを許容する。
「……きっとこの後の行動も予測されているんだろうね。だとしたら、勝ち目なし?」
『あの機体はオーブにいた――――!』
クラウが独白を続けていると、予想していた通りの敵が来る。そして、そのタイミングに合わせて予めセットしておいた機雷を爆発させた。それと同時にリゲルグの背面部に装備されているミサイルポッドを放つ事で先制攻撃を仕掛ける。
「ターゲットはZGMF-X20Aストライクフリーダム――――さて、仕事と行きますか」
勝つつもりはない。目的は受け流すだけ――――端的に言えば時間稼ぎの一環だ。議長の命令とはいえ中々厳しい命令だと考える。ストライクフリーダムを相手にオーブ戦でクラウは対等に戦ったように見せたが、あくまでも見せただけに過ぎない。
ストライクフリーダムの真価であるドラグーンを使用できない地上での空中戦、向こうが初めて乗る機体に対してこちらは乗りなれた機体、防衛側と攻略側の違い、あらゆる要素が噛みあって五分に見えるだけの状況を引き込んだのだ。つまり、結果的に彼の実力ではキラ・ヤマトに勝つ術はない。
「こういうのは柄じゃないけど、パーティーを始めようじゃないか!」
しかし、実力で劣っていながらもオーブ戦で対等に渡り合っていたのは事実である。何故か?簡単なことだ。自分に実力が足りていないのであれば
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