第二章 小さな約束
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「何してるの、こんな所で?」
屋根の上に登った浅間は、椿に話しかける、椿はただ上に広がる空を見ながら答える。
「この場所はさ、菫が好きな場所なんだよ」
静かに、ハッキリと答える椿、だがその背中は震えていた。
「椿君?」
浅間は静かに椿の隣に座り、椿の顔を見る。
その目には涙が浮かんでいた。
「母さんと約束したんだ、菫を守るって……でも……僕は…病気で苦しんでいた菫に………何も…出来なかった。」
それでも、椿は、涙を必死に抑えていた。
「それは………」
仕方がないことだ、と言ってしまいそうになるのを浅間は、こらえた。
「解ってる……仕方がないことなのは………でも僕は……自分を許せない」
浅間は、黙って椿を見つめていた。
「だから、せめて菫が……僕を心配しないように…涙だけは流さないって決めたんだ。」
震える体と涙を必死に抑える椿
そして浅間は理解した、椿が涙を流さないようにずっと上を見ていたことを
その姿は、幼い椿を更に幼くみせた。
「椿君、もう大丈夫だよ」
気づいたら、浅間は言っていた。
その、言葉に椿は、始めて顔を浅間の方に向けた。
「椿君は、頑張ったよ…だから……もう泣いても良いんだよ…」
気がつくと、浅間は涙を流していた。
「もう、良いのかな……僕は…もう泣いても……良いのかな?」
椿の言葉に、浅間は涙を流しながら、静かに頷いた。
その瞬間、椿は涙を抑えることを、やめた、吐き出すように、赤子のように涙を流した。
そんな椿を、浅間は静かに抱きしめる。
二人は、ただ、泣き続けた。
泣きながら浅間は思った。
(私が、この人の特別になれたら良いのに)
これが、浅間・智の初恋だった。
●
浅間は、話し終えると笑っていた。
「それが、アサマチが椿を好きになった、きっかけなのか」
直政の言葉に頷く、浅間
すると、今まで黙っていた鈴が、呟いた。
「で、でも、それだと、た、たぶん、椿君も、浅間さ、んの事が、好き、だと思う」
「あっ、それ私も同感です。たぶん椿さんも浅間さんの事が、好きだと思いますよ」
鈴の言葉にアデーレも頷きながら言う
「まぁ、でもあれからお互い、何もないので椿君の気持ちは、解らないんですけど」
浅間は少し戸惑いながら言った。
「まぁ、今日は中々良いことを聞いたよ、アサマチ何か進展があったら聞かせてくれよ」
考えておきます。と浅間が返すと四人は再び歩きだす。
(それに、この話しには続きがあるんで
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