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花天の椿
第二章 小さな約束
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さんの事を好きなったんですか?」

「あぁ、それは私も気になってた、何かきっかけがあったのか?」


直政の言葉に鈴も頷く


「きっかけですか?、う〜ん、あっ、そう言えば皆さんって椿君に妹がいるのを知ってました?」


浅間の問いに、三人は少し考える、すると直政が言った。


「あぁ、見たことは無いけど知ってるよ、けど確か椿の妹って」

「はい、椿君の家族は、父親がいなくて、母親も椿君が五歳の時に亡くなっていて、だから妹さんは椿君のたった一人の家族だったんです。でも妹さんも確か椿君が小等部に入ってすぐの頃に病で亡くなっています。」

「それと、椿の事を好きになるきっかけと、どう繋がるんだ?」


浅間は少し目を閉じる、何かを思い出すように


「妹さんの名前は、菫、私菫ちゃんとは仲が良かったんですよ、私が椿君と出会ったのも菫ちゃんを通してだったんですよ」

「へぇ〜それは知りませんでした。」


アデーレは眼鏡を少し上げながら言う。


「当時、椿君は少し暗い性格で、私の知る限り心を開いていたのは、ノリキ君ぐらいだったと思います。」

「あぁ、そう言えばノリキとは仲が良いよな、椿は」


直政の言う通り、椿とノリキは幼い頃からの親友であり、少し無愛想なノリキも椿とは仲が良い


「はい、それで私、菫ちゃんの葬式に行ったんです。仲が良かったから私泣いてしまって、でも椿君は泣いていませんでした。」


直政達は少し驚く、まだ小等部に入ったばかり幼い少年が、たった一人の家族を亡くして泣いていないということに


「私、その時椿君を見てまるで、自動人形みたいだなって思ったんです、酷いですよね」


浅間は笑っていた、だが幼い少女ならそう思うのも無理はない


「椿君は、葬式の時ずっと上を見ていたんです。」

「上?」


直政の疑問に、浅間は笑って答える


「はい、ずっと上を見ていました。そして葬式が終わった後椿君はすぐに、何処かに行ってしまって、私気になって後を付けたんです。」


浅間は、空を見上げる。







武蔵の住宅街を、巫女服姿で走る一つの影があった。
幼い頃の浅間だ、彼女は今葬式が終わった後いきなり何処かへ行こうとしていた、椿の後を付けていたのだが、見失ってしまったのだ。


「どこに、行ったのかな?」


必死に探しても見つからない、仕方なく浅間は椿の家に行くことにした。


十分ぐらい歩くと目的地に、到着した。
椿の家は、椿達の母親が亡くなった今でも残っていた、仮の保護者である酒井が残してくれたのだ。
そして、その屋根の上に椿は座っていた。
浅間は、すぐに椿の元に向かった
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