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花天の椿
第二章 小さな約束
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無い、ということですか?」


正純の、言葉に頷く酒井


「いつもはもっと、こっちからの荷もあったんだけどなあ。今回は妙に無いな」


眉をひそめる酒井に、正純は言う


「まるで、三河が死ぬ前に形見分けして、自らを世間から隔絶しようとしてるみたいですね」

「オイオイ、おっかないこと言うなよ。ただでさえ三河は鎖国状態で、交流不許可とかいって武蔵とも距離をとってるんだからさぁ」


酒井の言葉に、正純もそうですね、と返す
だが、椿だけは先程の正純の言葉が頭から、離れないでいた。


「まさか………な」


椿の小さな言葉は静かに空に消えた。







「じゃあ、一応私はここで」


三河の関所に着き、正純は酒井と椿に頭を下げる


「悪いね、わざわざ」


頭を下げる正純に酒井が、肩を叩く


「いえ、副会長として当たり前です、それじゃあ椿後を頼む」

「了解、あぁ後今日の夜トーリの大将が学校で、幽霊払いをやるみたいだけどお前も来る?」


幽霊払い?と正純は腕を組少し考えると


「いや、遠慮しておくよ今日は三河の花火が見たいし」

「解った、じゃあ皆に伝えておくよ」


そう言うと椿と酒井は、歩きだす。
すると正純は少し迷いながら、言葉を発する。


「あ、あの、今日このあと後悔道りを調べようと思っています。」


正純の言葉に二人は少しの間、言葉を無くす。


「え、えっと」

「良いんじゃないの、正純君がトーリ達の方に一歩踏み出すのも」


酒井の言葉にはぁ、と答える正純


「まぁ、色々あると思うけど調べて損は、無いと思うよ」

「はぁ、解りました。」


今度こそ、別れの言葉を言い合い、椿と酒井は歩きだす。
正純はそんなら二人の背中を、黙って見ていた。







三河の町を背後に三人の人影があった。
一人は、中年過ぎの、細い男、榊原・泰政
一人は、同い年くらいの、体格のいい男、本多・忠勝
まう一人は、二人目の背後に控えた少女、本多・二代
そこに、もう二つの影、酒井・忠次と、刻風・椿の二人だ。


(あれは、本多・二代?)


椿は忠勝と榊原の、背後に立つ少女二代を、見て少し驚いていた。
今忠次と、忠勝達が会話をしているが二代は、ただ、ずっと椿を見ていた。


(なんで、あんなにガン見してんだ?、俺なんかしたかな?)


あまりにも、凝視してくる二代に少し戸惑う椿
だが、次の瞬間椿と酒井に予想外の事がおこる。


「………見せろ」


空気を叩くように響く、忠勝の声
瞬間、二代の姿が消える。


舌打ちを
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