第一章
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万歳ヒトラー=ユーゲント
日本に若者達が来た、その若者達はというと。
金髪碧眼、独逸から来た若者達だ。 日本はその彼等の来日を最高級の応対で迎えることにした。
「友邦からのお客人だ」
「将来の独逸を背負った立つ青年達だ」
「凄いのが来るぞ」913
「あの国の将来のエリートだ」
「独逸を背負っていく若者達だ」
ヒトラー=ユーゲントが来日してくるのだ、それでだった。
日本中が沸き立っていた、当時の独逸はヒトラーの下復活しオリンピックも大々的に成功させまさに飛ぶ鳥の勢いだった。
日本でもそうした独逸、そしてヒトラーに憧れる者も多かった。ある雑誌の編集者もそのうちの一人で歌人の北原白秋にこう話していた。
「凄い若者達がはるばる来ますね」
「ヒトラー=ユーゲントだね」
北原は編集者と自宅で会っていた、共に茶を飲みつつ話している。
「彼等だね」
「はい、まさに独逸の未来をしょって立つ青年達ですね」
「そうだね、独逸はね」
「よく復活しました」
今も熱い声で話す編集者だった。
「先の戦争であそこまで疲弊したのに」
「それがね」
「ヒトラーが登場してから」
ヒトラーのこともだ、編集者は熱い声で話す。
「まさに瞬く間に復活して」
「オリンピックも成功して」
「今や何処まで大きくなるかわかりません」
「日一日と成長しているね」
「このままいけば間違いなく」
独逸はどうなるかともだ、話す彼だった。
「独逸は欧州の盟主になりますよ」
「欧州制覇を主張しているしね」
「独逸は凄い国になります」
「そしてその独逸の未来を背負うのが彼等だね」
「そうです、ヒトラー=ユーゲントです」
その彼等だというのだ。
「これからはそうなります」
「うん、それでだけれど」
「それでとは?」
「君が今日僕の家に来た理由は何かな」
北原は着物の袖の下で腕を組みつつ編集者にその理由を問うた。
「一体」
「いえ、それで先生にですね」
「僕に?」
「彼等を讃える歌を書いて欲しいんですよ」
「それで来たのかい」
「はい、宜しいでしょうか」
「確かに独逸は凄い国だしね」
日の出の勢いだ、彼から見ても。
「それじゃあね」
「はい、では」
「書かせてもらうよ」
北原はこう編集者に答えた。
「是非ね」
「そうですか、それでは」
「暫く待ってくれるね」
脱稿するまでの間というのだ。
「その間は」
「わかりました、それでは」
「しかし今国中が沸き返っているね」
「そうです、ヒトラー=ユーゲントの来日で」
「彼等をどう迎えるかだね」
「折角来てくれたんです」
それならというのだ、そこには素直な好意だけでなく擦り寄る気持ちもあったしその他に独逸とヒ
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