逞しく成長した嘗ての少年は今漸く家族と再会し彼等に一時の安らぎが訪れた・・そう束の間の安らぎが
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に
思っていながらも言葉にする事が出来なかった
大切な言葉だったのだから
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
儂はまるで自分の孫が出来たようで嬉し
かったんじゃ 初めてあの子を見つけた時
儂は天からの授かりものじゃと思った
人里離れて長い間一人孤独に山奥で生活して
いた儂に取っては何者にも変えがたい
宝物じゃった
そして儂はその子に孫悟空と名付けて
儂の孫の様に可愛がった 悟空は拾った時から
暴れん坊で手のつけられない子じゃった
まるで生まれた時から闘う事しか心の中に
存在しない様なそんな暴れん坊じゃった
それでも儂にとってはどんなに暴れん坊でも
お前が可愛かった
ある満月の夜お前が初めて大猿になり
付近の森を荒らし回ってしまった時も
儂はお前に黙っていた
子供のする事だとお前には罪はないと
儂はそう思ってしまった そんなお前が
ある満月の夜近くの小さな村を襲いとうとう
人を殺してしまった
それでも儂は何も理解していないお前を
咎める事が出来んかった 儂はもう一人に
なりたくなかった じゃから師匠の武天老師
にも孫が出来たと言っただけで他には何も
伝えんかった
それはお前が三つになり崖から落ちて頭を打ち
大人しい性格になってからも満月の夜に
姿を消し儂が気がついた時には既に何百何千
ともすれば何万と数えきれぬ位殺していった
本来ならそのままではいかんかった
大人しい性格になったのは一時的な事
しかも本来の自分を隠したままでは肉体的に
成長しても一番大切な精神が子供のままだと
分かっていた
そして何れ本来の性格が現れ皆を災いに
導く事も分かっていた そうなる前に
自分の手で殺すべきだった事も 或いは
武天老師様に相談して何とかしてもらう事も
出来たであろう
しかし儂はその何れもがどうしても出来ん
かった 儂はお前とずっと一緒にいたかった
お前とずっと一緒にいたかった もう1人には
戻りたくなかった
・・儂は只 悟空 お前を真実心の底から
愛していた・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
孫悟飯「それだけだったんじゃ・・それが
まさかこんな事になるとは」
占い婆「ふざけるでないわ!! 何を
逃げの言葉をつかっておるんじゃこの
救い様の無い愚か者めが!!・・のぅ孫悟飯よ
弟が今どんな気持ちじゃと思う? 弟のように
思っていた貴様から信用すらされていなかった弟が
どれ程嘆き悲しんでいると思う?」
孫悟飯「儂はそんなつもりは・・儂は只悟空が・・
悟空の事を」
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