第6話 「リンディとの再会」
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理もない。
金髪の少年は高町の手を取って立ち上がらせる。高町は立ち上がるのと同時に口を開いた。
「ユーノくんって……普通の人間の男の子だったの?」
「あれ? なのはにこの姿で会ったことは……」
「ううん、ううん、ううん!」
激しく首を横に振りながら否定する高町。このふたりは一緒に行動していたはずなのだ。ユーノと呼ばれた少年が男だと知らないで生活していたとすれば恥ずかしい思いを……いや、考えるのはやめておこう。俺がどうこう口を挟む問題ではない。
「とりあえず、こちらを優先させてもらってもいいか?」
「「あっ、はい」」
再び歩き始めた俺達は、ある一室に入ることになった。
「…………」
部屋に入った俺は思わず言葉をなくした。艦内だというのに桜にししおどしが存在していたからだ。視線を部屋の中央に向ければ、茶道に用いられる道具まで用意されている。日本に住んでいる人間でさえ異質に感じる空間だ。
部屋の中央に静かに正座している女性は、おそらく艦長またはクロノという少年の上司に当たる人物だろう。
「どうぞ」
中に招き入れられた俺達は女性の元に向かって進み、彼女の前に並んで正座した。順番に顔を見た女性は、俺と視線が重なると驚きの表情を浮かべる。
「あなたは……まさか」
「お久しぶりですね……リンディさん」
俺に全ての視線が集中した気がした。次元航行艦の艦長と魔法文化のない世界の子供が知り合いだったのだから、俺が別の立場だったならば同じような反応をしていることだろう。
「……本当に久しぶりね」
リンディさんの瞳には、優しさや寂しさといった様々な感情が混じっているように見える。
彼女と初めて会ったのは、両親の葬式だった気がする。そのときは泣いてばかりいて、誰が来ていたのかはよく覚えていない。
だが俺はこれまでに叔母に連れられて何度かミッドチルダに行ったことがある。そのときにリンディさんが訪ねてきたことがある。
「艦長、彼とお知り合いだったんですか?」
「ええ、彼のお父さんは元々管理局で技術者として働いていたから。技術者の中でも結構独特の研究をしていたわ」
「独特……デバイスに関する何かですか?」
「あら、鋭いわね」
「彼は先ほどバリアジャケットを解除したとき、誰にも見せないようにデバイスをしまってましたから」
俺とあまり変わらないのに執務官になっているだけあって洞察眼はかなりのもののようだ。
待てよ……記憶は曖昧だけど、リンディさんの息子さんは俺より5つくらい上だったか。執務官の少年はクロノ・ハラオウンと名乗っていたから、おそらくリンディさんの息子さんのはず。背丈は俺とあまり変わらないけれど、あっちのほうが年上なんだよな。
などと考えていると、
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