第3部:学祭2日目
第12話『変転』
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見る。
「あは……あははは……みんな……みんな…………壊れちゃえ…………あははは……あははははははは……」
彼女の目に、光はなかった。
うつろな笑い声が、駅構内に、響き渡った。
ちょうど、その時。
妙な予感がして、榊野町駅に戻ってきた世界。
そこには、ふらりふらりと歩き始めた言葉の姿。
「桂さん……?」
妙な好奇心がわき、急いで言葉を追いかけた。
気づかれないように。
「畜生、何で澪と連絡がとれねえんだ!」
律は苛立たしげに携帯のボタンを押すと、片足を床に向かって蹴りあげた。
「どうしたんですか、律先輩」
「伊藤から聞いたんだけどよ、澪の奴、桂から手ぇ引いて逃げちまったみてえなんだ」
「澪さんが……?」
憂は唖然となる。
「……もう、どうでもいいじゃないですか」
なぜか梓は、投げやりだ。
「な、何でだよ!?」
「あいつらをかまえばかまうほど、介入すればするほど、どんどん厄介なことになるだけじゃないですか。
ムギ先輩も甘露寺に脅されて、わざわざボディガード呼ばなくちゃならなくなって……。
澪先輩だって、このままいけばさらにややこしいことになってたかもしれませんよ……」
「馬鹿野郎!!」
律の声が、急に大きくなった。
「律先輩……」
「私達にはそうかもしれないけど、2人にとっては一種の縁だろ! 澪と桂が初めて会ってから、そんな気がしてたんだ。伊藤だって、心配しているみてえだし。そんなにあいつらと関わりたくないなら、梓はもういいよ」
「律先輩だって、自分と桂は中立だって言ってたじゃないですか」
「細けえことは言わない!! それによ、あいつに後悔はしてほしくねえんだ。とにかく、澪んちに行ってくる! いつも挫折した時、澪の奴は家にこもっていたことが多かったから!!」
「え、ちょっと律先輩!?」
梓が止めるのも聞かず、律は生徒たちの合間を縫って駆け出し始めた。
「律さん!! お姉ちゃんは!?」
憂が律に尋ねてきた。
「唯と伊藤はこちらに向かってる! 沢越止をそちらにおびき寄せるよう、伊藤にも伝えた。
榊野町を出発したそうだから、30分くらいで来ると思う」
「わかりました」
憂はシャドーボクシングのように、ワンツーの練習を始めた。
ついにはコンクリートの壁に向かってワンツーパンチを行い始めた。
「拳を固くしておかないと……」
手首のスナップを間に入れつつ。
人の目も気にせず、憂はボクシングの練習を続ける。
「ほんと、律先輩も憂も元気だよね……」
梓は相変わらず、げんなりとしている。
「梓ちゃんも、そんなにいやならば、帰っていいと思うよ」
「そうはいかないよ。清浦の勧めもあるし……私も唯先輩が心配だし……。
自分で言うのもなんだけど、唯
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