第47話 あなたはどこに?
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紘汰と一緒に一晩かけて街を探したが、初瀬の姿はどこにもなかった。
夜になってから紘汰に、さすがに帰ったほうがいいと言われたが、咲は譲らなかった。咲がいない間に紘汰だけが初瀬を見つけて、最悪の事態になることを恐れたからだ。
紘汰も傷の痛みで判断力が鈍っていたせいか、途中から何も言わなくなった。
もっとも咲にできたことなど、紘汰が立ち上がる時に肩を貸した程度だったが。
補導されなかったのが不思議なくらいの一夜だった。
紘汰はガレージのチームメイトと話しに行っている。咲はチーム鎧武のガレージの外で、家に電話していた。
「ごめん、お母さん。トモダチ……探してたの。――――。ケーサツじゃだめ。あたしたちが見つけてあげないと。――――。あたしが行かなきゃいけないの! いなくなったの、あたしのせい、だから。ごめん、だから昨日帰れな――――今日も帰れない。どうしても今はやめちゃだめなの! ――――。もういいよ! お母さんのばか!」
咲は電話の向こうの声を無視してOFFボタンをタッチした。心臓が飛び出しそうだ。堪らずしゃがんで膝に顔をうずめた。
「初瀬くん……もうっ、どこにいるのぉ……」
彼がどこかで人を襲っているかもしれない。あるいはまた人間に戻って、ビートライダーズバッシングの的にされているかもしれない。今度は心配で胸が潰れそうだ。
(あたしがあの時、初瀬くんのそばを離れちゃったから。近くにいれば止められたのに!)
後悔に暮れていると、ガレージのドアが開いて紘汰が降りてきた。咲は立ち上がって紘汰に駆け寄った。
「どうだった?」
「だめだ……みんな知らねえって。ミッチも来てなかった」
「そ、か……あたしのほうも、返事、来てない」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
「――ね、紘汰くん。もし初瀬くんが見つかったら、どうするの」
見上げた紘汰は、爪が食い込まないか心配になるほど強く拳を握りしめていた。
「あいつにもし、人の心が残ってるなら、早くこんなことはやめさせてやりてえ。けど、このまま人を襲い続けるっていうなら……そいつはもう初瀬じゃねえ――!」
血を吐くような、喉を裂くような、叫びだった。
咲は堪らず、紘汰の拳を両手で掴んだ。
「それでも一度は紘汰くんの声に答えたよ。まだ間に合う。初瀬くんを助けてあげられるの、きっと紘汰くんだけだよ」
紘汰は一瞬だけ泣きそうな顔で咲を見下ろし、咲の手を握り返した。痛いくらい、強く。
その時だった。咲のスマートホンに着信が入ったのは。
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