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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その6
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「んだったら俺だって先陣切ってやったんだぞ、新入りなのによ!ちょっとそれは抜け駆けが過ぎねぇか、曹洪さん?」

 やれ俺が一番だ、違う俺がそうだなどと、三者は酒宴の勢いに身を任せていく。明日は本当に大丈夫なのだろうかと心配になるが、そこはそれ、他人より身体が丈夫なのが取り柄であるのだからこの程度の騒ぎで酔い潰れはしないだろう。後で介抱するのが面倒なだけに潰れないでほしいと祈り、仁ノ助は天幕から去っていく。
 他の陣営に比べて仁ノ助は感じる。食事をとる兵達はみな落ち着いて、あるがままに時を過ごしている。信賞必罰を第一の規律の骨子とする曹操軍は羽目を外すところがあるかもしれないが、手が付けられないほどの馬鹿騒ぎを起こす者はいない。この前、袁紹軍を視察した時は酷かったものだ。それと比べれば自陣の何と静穏で、秩序ある事か。我等が大将に対する忠誠心かどうかは知らないが、少なくとも大事を起こさない程度の理性を皆が持ち合わせているというのはこの大陸では珍しいのではないだろうか。
 仁ノ助はぶらぶらと陣営を歩き、就寝前となって人気が静まってくると、その辺の木箱を椅子代わりとして篝火をぼぉっと見る。辺りはすっかりと暗くなっており、寝苦しき夏の夜にボォボォという篝火が浮かび上がっている。
 炭がばちりといって火花が散る。それが地面に消えて行くのを見ては、また紅い火を見る。外側の火と内側の火が混じって、一層激しく、また色濃い火花を散らす。文人であればさぞいい比喩と詩句を言うであろうとは思うが、仁ノ助に詩を吟じるような才覚は備わっていなかった。『まるで人の戦いみたいだな』と、在り来たりな事を考えて暇を潰していく。
 何分かそうしていただろう、ゆっくりと見知った気配が近付いてきて、隣にずずずと木箱を引き摺って来た。

「隣、いい?」
「ああ」

 柔らかな赤い髪が視界の端を掠め、木箱に重みをかけた。しばらくの間は無言のままであったが、不意に紙屑が篝火に投げられてボォと盛んに火を吹き、仁ノ助は抗議の意をこめて隣に座る錘琳を見る。好物の肉まんを食らったらしく肉汁の薫りが服に染みており、夕陽のせいか頬がいつもより赤くなっている気がした。まるで恋を知った少女のようだと、自然に思えてしまう。
 錘琳は込み上げた欠伸を噛み殺し、涙をぱっぱと払って仁ノ助を見る。「すっかり男連中のまとめ役ね」。仁ノ助は苦笑交じりに返す。

「そういう役割なんだよ。俺だって新参者の一人なのにさ、なんだかんだであの中で軍功を一番稼いでいて、一番上の立場になっている。不思議な事もあるもんさ。名前の価値でいえば、曹仁や曹洪の方がずっと凄いっていうのに」
「謙遜しないで素直に喜びなさいな、仁ノ助。蒋済あたりがやっかみを言い出すわよ」
「あいつはそんな狭量じゃないって。酒乱だが分別を弁えてい
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