暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
10弾 夕焼け色の部屋で
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
アリアの隣に放り投げてやった。だがアリアはそれを意にも介さず、へーぜんと自分の額をご満悦で眺め続けている。

「そんなに自慢のおでこなら地元(イギリス)の雑誌からもさぞかしオファーがあったんでしょうね。貴 族 様」

 俺は洗面所に入って、ちょっとイヤミな口調で背中越しに言ってやった。

 するとアリアは、

「……あたしのこと、調べたわね?」

 と、なんでか嬉しそうにやってくる。

「ああ。本当に、今まで1人も犯罪者を逃がしたことがないんだってな」

「へえ、そんなことも調べたんだ。武偵らしくなってきたじゃない。でも――――」

 そこまで言うとアリアは壁に背中をつけ、ぷらん、と片脚でちょっと蹴るような仕草を見せた。

「――――こないだ、1人逃がしたわ。生まれて初めてね」

「ほう。凄い奴もいたもんだな。誰を取り逃がしたんだ?」

 おっと。理子(りこ)の情報にも間違いがあったか。

 俺はコップに水を汲み、うがいを始める。

「あんたよ」

 ぶっ!

 俺は水を盛大に噴きだしてしまった。

 俺、って、ああ、あのチャリジャックの後でのことか!

「お、俺は別に何もしてないだろ!なんでカウントされてんだよっ!」

「強猥したじゃないあたしに!あんなケダモノみたいなマネしといて、しらばっくれるなんて最低よ!このウジ虫!」

 ドレイからケダモノ、さらにウジ虫か。留まるところを知らないな、俺の評価下落は。

「だーかーら!あれは不可抗力だっつってんだろ!それに、そこまで言われるようなことをした憶えはない!」

「うるさいうるさい!あんたみたいなのがいるから、日本の犯罪はいつまで経ってもなくならないのよ!この犯罪者!」

 俺の中で、そう言ったアリアと別の女の子が重なった。

 記憶の中で、黒い髪の女の子が泣きながら俺に向かって叫ぶ。『この犯罪者!』そうだ、この言葉を俺は昔、誰かに――――

「ちょっと!あんた大丈夫!?なんかすっごく顔色悪いわよ!?」

 アリアが心配した声で俺に駆け寄ってくる。「大丈夫だ」って言おうと思ったが口に、というか全身に力が入らない。あれ?どうしたんだ、俺?

「ミズキ!ちょっと、しっかりしなさいよ!ミズキ!」

 おかしいな?アリアの顔が近くにあるのに、声だけがどんどん遠くなっていく。最後には視界も真っ暗になり始めて。

 俺の意識はそこで途絶えた。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ