暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
10弾 夕焼け色の部屋で
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アリアの隣に放り投げてやった。だがアリアはそれを意にも介さず、へーぜんと自分の額をご満悦で眺め続けている。
「そんなに自慢のおでこなら
地元
(
イギリス
)
の雑誌からもさぞかしオファーがあったんでしょうね。貴 族 様」
俺は洗面所に入って、ちょっとイヤミな口調で背中越しに言ってやった。
するとアリアは、
「……あたしのこと、調べたわね?」
と、なんでか嬉しそうにやってくる。
「ああ。本当に、今まで1人も犯罪者を逃がしたことがないんだってな」
「へえ、そんなことも調べたんだ。武偵らしくなってきたじゃない。でも――――」
そこまで言うとアリアは壁に背中をつけ、ぷらん、と片脚でちょっと蹴るような仕草を見せた。
「――――こないだ、1人逃がしたわ。生まれて初めてね」
「ほう。凄い奴もいたもんだな。誰を取り逃がしたんだ?」
おっと。
理子
(
りこ
)
の情報にも間違いがあったか。
俺はコップに水を汲み、うがいを始める。
「あんたよ」
ぶっ!
俺は水を盛大に噴きだしてしまった。
俺、って、ああ、あのチャリジャックの後でのことか!
「お、俺は別に何もしてないだろ!なんでカウントされてんだよっ!」
「強猥したじゃないあたしに!あんなケダモノみたいなマネしといて、しらばっくれるなんて最低よ!このウジ虫!」
ドレイからケダモノ、さらにウジ虫か。留まるところを知らないな、俺の評価下落は。
「だーかーら!あれは不可抗力だっつってんだろ!それに、そこまで言われるようなことをした憶えはない!」
「うるさいうるさい!あんたみたいなのがいるから、日本の犯罪はいつまで経ってもなくならないのよ!この犯罪者!」
俺の中で、そう言ったアリアと別の女の子が重なった。
記憶の中で、黒い髪の女の子が泣きながら俺に向かって叫ぶ。『この犯罪者!』そうだ、この言葉を俺は昔、誰かに――――
「ちょっと!あんた大丈夫!?なんかすっごく顔色悪いわよ!?」
アリアが心配した声で俺に駆け寄ってくる。「大丈夫だ」って言おうと思ったが口に、というか全身に力が入らない。あれ?どうしたんだ、俺?
「ミズキ!ちょっと、しっかりしなさいよ!ミズキ!」
おかしいな?アリアの顔が近くにあるのに、声だけがどんどん遠くなっていく。最後には視界も真っ暗になり始めて。
俺の意識はそこで途絶えた。
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