第二章
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「あの人は何しても責任取れないレベルの人だから」
「そんな人を引き合いに出してもね」
「普通の人は略奪愛とかしないから」
「普通の女子高生はね」
「そうなのかしら」
そう言われてもやはりこう言うのが藍である。
「うちの学校にいなくても」
「他の学校の娘？」
「事情を知らない娘とかがアタックしてくるって？」
「そうしてくるっていうのね」
「いつもこう言うけれど」
「そう、しかも声をかけてくる娘が」
その娘がというのだ。
「もう凄く可愛くて」
「秀幸君がそっちにいくとか？」
「そう言うのね」
「いや、秀幸君に限ってそんなことはないけれど」
彼氏のことは信じているのでこう言うのだった。
「それでもね」
「声をかけられること自体がっていうのよね」
「それ自体が」
「そう、嫌なのよ」
どうしてもというのだ。
「秀幸君は私と付き合ってるから」
「他の女の子が声をかけるだけでっていうのね」
「嫌って」
「受け入れられないわよ」
どうしてもというのだ。
「そんなの」
「全く、いつもそう言うけれどね」
「だから杞憂よ」
「そんなのないわよ」
「大丈夫大丈夫」
「藍ちゃん心配し過ぎだから」
周りは藍をなだめつつ告げる、やはりいつもそうするのだった。
「幾ら秀幸君がよくてもね」
「世の中には杞憂って言葉があるでしょ」
「だからね、気にしないでね」
「落ち着いていればいいって」
「安心して」
「だといいんだけれど」
とにかく藍は心配性だった、いつも交際している大友秀幸が誰かから声をかけられていないか不安で仕方がなかった、それでだった。
ある日だ、その友人達にこう言うのだった。
「もうこうなったらね」
「こうなったら？」
「どうするの？」
「一日秀幸君を見ていて」
思い詰めている顔での言葉だ。
「それで本当にもてるかどうかね」
「確かめるっていうの」
「そうするって」
「どうかしら」
真剣な顔で友人達に問う、ここまで言って。
「それで」
「それストーカーじゃないの？」
「探偵って言えば聞こえがいいけれど」
「幾ら何でもやり過ぎでしょ」
「そこまでいくと」
「もう怖いわよ」
周りは苦笑いで突っ込みを入れる、しかし藍は本気だった。
本気でだ、こう言うのだった。
「こうなったらよ」
「本当に確かめるの？」
「秀幸君が声をかけられないか」
「実際に見てなの」
「そうするの」
「そうよ、だって本当に心配だから」
それでだというのだ。
「確かめずにはいられないわ」
「そこまでいくと病気だって」
「そうよ」
周りは流石に苦笑いから引いた顔になった、そのうえでの言葉だった。
「そこまでしなくても」
「ストーカーに思われるわよ」
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