歌い手、忍者に会う
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んですけど!」
「文句言ってないでさっさと走ってください!」
そして、物量に押されている(というより埋もれている)風間さんの横を走って通り過ぎ、ヴァイオリニストの元までたどり着く。
「ハア、ハア・・・もうバテ、た!?」
両膝に手を置いていた僕に向けて、魔物が向かってくる。
えー・・・少しは休ませてくださいよ。
「はあ・・・ね〜んね〜ん、ころ〜り〜よ、おこ〜ろ〜り〜よ〜」
とりあえず、子守唄で眠らせようと試みるけど・・・依然、魔物はこちらに向かって牙なり爪なりを向けてくる。
「やっぱり、無理か・・・」
まあ、予想は出来ていた。
音楽とは、より共感できる曲の方が感動も強くなる。
こんな自我のなさそうな存在に対して、子守唄なんかよりもあの狂ったような、それでいてどこか情熱的にも聴こえる曲の方が彼らにとって共感できて当然である。
「となると・・・ヴァイオリニストさん?」
向こうは、僕の問いかけに対して何の反応も示さなかった。
それどころか、こう・・・まるで聴こえてすらいないみたいに。
「はあ、とりあえずこの魔物たちだよね・・・剣の舞」
僕は多鋭剣を一振りだけ取り出し、剣の舞を歌う。
今回はいつもと違い、僕自身を対象にして。
結果として起こるのは、僕が、剣舞を舞う。そんな状態。
剣舞なんて出来るほどの筋肉はないけど、そこは音楽シリーズ、何とかなるものだ。
そして、あらかたの魔物を片付けたら・・・龍が現れた。
目をこする。
そこには、龍がいた。真っ黒な。
「マジですか・・・」
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