第四章
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二人は旅人にだ、こう言うのだった。
「まだ行きます」
「草原が続くのなら」
「僕達はまだ行きます」
「空の終わりをみます」
「そうですか」
「何処にあるのか」
「その終わりを」
そうするとだ、二人で旅人に話す。旅人も二人のその言葉を受けて最初は驚いた顔だったが微笑んでこう二人に言った。
「では目指して下さい」
「はい、そうします」
「最後の最後まで」
「空の終わりですか。どんなのでしょうね」
旅人は空の果て、遥か西の方を見て微笑んで言った。
「それを御覧になって下さいね」
「ええ、そうします」
「絶対に」
二人も応えそうしてだった。
旅人は二人に別れを告げて東の方に行った、二人はそのまま西に向かった。
人は確かに多くなりその人達は背が高く肌が白い。目は青だったり緑だったりする、髪の毛も黄金だったり赤だったりする。
そうした人達の町や村を進んでだ、二人はさらに西に進んだ。そのうちにだった。
人々の話を聞いた、その話はというと。
「海か」
「ええ、海があるそうね」
ボンテは休む為に組み立てて中に入ったゲルの中でドルゴに応えた。今二人はその中で馬の乳を入れた茶を飲んでいる。
その中でだ、二人で噂話を整理して話すのだった。
「もう少し行けば」
「海か」
海と聞いてだ、ドルゴは不思議そうな顔になってこう言った。
「僕はまだ見たことがないんだ」
「私もよ」
それは彼女もだというのだ。
「海はね」
「大きな湖は見たな」
「これまでね」
幾つか見た、ここに来るまでに。
「物凄く大きなね」
「けれどどれも海じゃなかったらしい」
「海のお水は塩辛いっていうわね」
「そうらしいな」
二人はこのことも知らない、海のこと自体を。
「そこに行けば若しかしたら」
「空の終わりがあるのかしら」
「そうかも知れないな、それじゃあ」
「西にさらに行ってね」
「海に行こう」
その塩辛い水の場所にというのだ。
「そうしよう」
「そうね、このままね」
こう二人で話してだ、二人は白い肌の人の間をさらに西に西に進んだ、そして遂にだった。
二人は海に来た、そこがだった。
「西の終わりか」
「そうね」
「もう先に草原はないな」
「青いわね」
二人は緑の草原から白い砂浜に出ていた、そこから見えるものは青い海だった。
少しその水を手ですくって飲んでみる、するとその味は。
「駄目だ、飲めない」
「塩辛いわね」
「こんな塩辛い水ははじめてだ」
「とても飲めたものじゃないわ」
二人共すぐに嫌な顔になって言った。
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