第八章
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二人共カトリックだ、だからなのだ。
「問題はないから」
「楽だしね」
「そう、だからね」
「結婚だね」
「そうしない?」
こう言うのだった。二人の話の調子も既に砕けたものになっている。
「二人でね」
「そうだね、暮らしていこう」
「ええ、それじゃあね」
二人で笑顔で話してだ、そのうえでだった。
ロナルドはエリザベートと結婚することになった、彼は家庭も持つことになった。しかもさらによいことが続くのだった。
前に買った宝くじ、これが。
その話を彼自身から聞いたハロルドが笑顔でこう言った程だった。
「運がいいですね」
「そう思われますよね」
「ええ、一等ですか」
「はい、そうなんです」
「それは本当に運がいいです」
「全くですよ、アメリカに来てから」
就職でこの国に来てからだというのだ。
「運が良過ぎて、いやこれは」
「これは?とは」
「神のご加護でしょうか」
こうまで言うのだった。
「アイルランドで必死に仕事を探していたのに」
「アメリカに来てからですね」
「はい、たまたま本屋で見つけた本を読んでそれにヒントを得た論文で准教授になって」
「席がたまたま空いていて」
「はい、准教授の」
それにだった。
「しかもたまたま会った相手が同じ大学の学者さんで何度も会って仲良くなって」
「たまたま買った宝くじの券がですね」
「一等でした、アメリカに来てから全部です」
「そうですね、ふとした弾みで、ですね」
「一気に幸運が来ました」
そしてその幸運により、というのだ。
「私は幸せになりました、神が私に幸運を授けてくれました」
「いえ、幸運は既にあって」
ここでだ、ハロルドは笑顔でロナルドにこう言った。
「それがふとした弾みで」
「アメリカに就職してですか」
「一気に出て来たんじゃないでしょうか」
「神は既に幸運をですか」
「はい、用意してくれているのです」
そうしたものではないかというのだ。
「それは中々出ませんが」
「ふとした弾みで、ですね」
「出て来るのだと思います」
「そういうものですか」
「そう思います、それで貴方もです」
「幸運が出てですね」
「そう思います」
こうロナルドに話すのだった。
「今になりました」
「そういうものですか」
「幸運が出て来たこと」
そのことにだというのだ。
「このことに神に感謝しましょう」
「そうですね、それでは」
「これからも神に感謝をして」
「そのうえで、ですね」
「生きていきましょう」
「それでは」
ロナルドが笑顔でハロルドに応えた、彼は自分の運命の急変に戸惑いながらも喜んでいた。そして幸運は既に神に用意されていてそれは何かふとした弾みで泉の様に湧き出ることも知ったのだった、そ
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