第二章
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無論晴信もこのことはよく知っている、それで言うのだ。
「だからこうした時もな」
「左様ですか、では」
「うむ、書こう」
こう飯富に言う、そしてだった。
晴信は早速文を書いた、その内容はというと。
自身の身の潔白を訴えるものだった、自分は決してその相手と寝てはいない、源助だけを想っている、そして彼がいなくてどれが寂しいかということをだ。
とにかく必死に書いていく、そしてだった。
その文をその源助に送った、送る時にそれを届けさせる小姓にもこう言う。
「よいか、くれぐれもな」
「源助殿にですか」
「そうじゃ、よく言っておく様にな」
こうその小姓に言うのだ、小姓にしても武田家の中でとりわけ利発な者しかもまだ晴信が手をつけていない者を選んだ。
その者に送らせたのだ、晴信は文を送らせてから飯富に言った。
「送ったがな」
「後は源助次第ですな」
「さて、源助は許してくれるか」
「源助の忠義は本物です」
晴信、そして武田家へのそれはというのだ。
「ただ顔立ちがよく資質に恵まれているだけではありませぬ」
「だから傍にも置いておるのじゃ」
源助はまさに才色兼備の若者だ、晴信は床の相手には姿形だけでなく才覚も求めるのだ。かなり求めるものが高いと言える。
だからこそ源助も愛している、だが浮気をして今に至るのだ。
それでだ、晴信はこう言うのだ。
「源助は必ず武田の柱の一人となる」
「優れた家臣になりますな」
「うむ、そのうちよい家を継がさせよう」
今は身分が低い、しかし取り立てるというのだ。
「しかしそれもな」
「全ては源助の機嫌がなおってからですな」
「あ奴は確かに忠義の心は篤いがな」
「この度は御館様のあれが」
浮気だ、こればかりはというのだ。
「ですから」
「そうじゃな、文は送ったがな」
「文の内容次第ですが源助はその心も甲斐随一です」
心根もまたいいというのだ、やはり晴信はそこも見る。
「ですからこれで」
「そうなればよいがな」
晴信はいささか不安だった、そのうえで源助がどうしてくるかを待ったのだ。そしてその次の日であった。
彼の前にすれ違ったならば誰もが振り返るまでに整った、この世のものとは思われぬまでの顔立ちの者が来た。武田の赤い服と冠もよく似合う。
その者が晴信の前に来て頭を垂れてだ、こう言ったのである。
「文、読ませて頂きました」
「左様か」
晴信は彼、春日源助の言葉を聞いてまずはほっとした。とはいってもそれは心の中に隠し顔には出していない。
そのうえでだ、威厳を保ったまま彼の言葉を聞くのだった。
「わかった」
「それがしの誤解でありました」
声も端正だ、源助はその言葉で言っていく。
「申し訳ありませんでした」
「ならよ
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