その1
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家族の勧めで買ったデジイチカメラは、今回の旅で初陣ということになり、旅行期間中ずっと首にかけ、撮影体勢に入ることになった。
コンパクトカメラとは違い、かなり重い。
小学生の時に使った、鉛分銅を首にぶら下げるような感じで、ホテルに行った時にはすっかり首がこってしまっていた。
本当は年季の入ったコンパクトデジカメもあったが、充電してもすぐ切れてしまうほどバッテリーが老朽化してしまっていた。
加えて、ぼかし等を入れ、本格的な撮影を楽しめるのがいい。
そう勧められたのである。
新幹線の車窓から、いちいちふたを開けたり閉めたりして、写真を撮ったりしていったが、そのうち面倒くさくなり、カメラのふたをポケットに入れて車窓を取るようになった(ふたは旅行中、どこかに行ってしまった)。
とは言え、霧が深く、車窓から見る風景はあまり期待できるものではない。
焦点を合わせる場所を選択できるから、狙いを定めた風景を綺麗に撮れるカメラであったが。
乗る前に自販機でCCレモンを買ったのはよかったと思っている。
喉越しがいいし、電車の中で買うと高いのである。
集中すると喉が渇くものだ。
霧深い車窓が晴れてきたのは、花巻あたりに入ってから。
これから綺麗な写真が、いくらでも撮れる。
これから、
というときに、盛岡あたりを過ぎたあたりで、僕は白河夜船をこいでいた。
車窓を刮目して見る。という思いはどこへやら。
それとも、前日の寝付きが悪かったのか。
いつも、いくら寝てもね足りないのである。
目を覚ましたのは、終点の新青森駅近く。
あまり変わらぬ田園風景が続いているが、とりあえず到着した。
新青森から函館まで向かう特急は、緑色のひたち、という感じの電車であった。
指定席が禁煙席だったのでタバコ臭い、ということもなかったが、左側の窓際の席で合ったのは、後で振り返るとちょっと残念だった気がする。
海は右手にあるのである。
この特急は一風変わっていて、新青森を出発してから、いったん反対方向を進んで青森駅に到着した後、函館駅に向かうのである。
なかなか世界は広いものだ。
青森駅周辺もなかなか開けた場所で、サラリーマンや家族連れ、20人くらいの人が函館を目指し てこの特急に乗ることになった。
一風変わった絵柄を持つデパートの方が、妙に印象深かったが。
青函トンネル前後の車窓は、大いに期待にしていた。
期待はずれであった。
地味。あまりにも地味。
見慣れた田園風景を両脇に挟んだと思ったら、すぐトンネルに入ってしまう。
以前家族と一緒に行った、袖ヶ浦アクアラインとはけた違いに地味。
アクアラインは両脇に海を挟んだ道を通り、豪華客船をあしらったかの
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