六十七 凶報
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上げた。アマルに倣ってナルも夜空を仰ぐ。
雲間から射し込む月光が室内に溢れ、濡れそぼった花をより一層華やかに彩らせた。
この時、ナルが見舞い人の名を挙げれば、違った結末を迎えられたのかもしれない。
この時、アマルが『神サマ』の名を告げれば、未来は変わっていたのかもしれない。
だが彼女達は、うずまきナルトの名前を言わなかった。
この些細な差異がどのような結末に結びつくのかも、どんな結果が起こりうるのかも、そしてこれから先の行く末に何が待ち受けているのかも…―――今の二人には知る由が無かった。
なんだかしんみりとした空気を払拭するように、ナルがわざと明るい声を上げる。
「オレ、最初はアマルの事、男だと思ってたってば。女の子だと知って驚いたってばよ!」
「ひっどいなぁ〜。そんなにオレって男っぽいか?」
ナルと調子を合わせ、アマルは唇を尖らせた。次いで「ナルだって自分の事オレって言ってる癖に…許さんぞぉ〜」とふざけてナルの身体をくすぐる。
突然のくすぐり攻撃を受け、ナルは目尻に涙を湛えて「ごめんってばよぉ」と笑った。じゃれ合う少女達の笑い声と笑顔が部屋いっぱいに溢れ出す。
「ごめんって!今修行してる新術…完成したら、アマルに一番に見せてやるからぁ!」
「言ったな!約束だぞ!!」
「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ…それがオレの忍道だ!!」
かっこいい台詞だが、傍目はただの子どものじゃれ合いだ。先ほどとは一転して和やかな雰囲気が漂う部屋。
笑い過ぎて腹を抱える二人の耳に、突如鋭い声が飛び込んできた。
〈おい、ナル!!〉
「え…?な、なんでこんな所に…!?」
いきなり少女達の談笑に割り込んで来たのは、ナルの担当上忍――畑カカシの忍犬『パックン』だった。
息を切らしながら宿の屋根上に佇むパックン。急いで窓から身を乗り出したナルに、パックンは再び大声を上げた。
〈自来也は!?自来也はおるか!?〉
「え、エロ仙人なら、たぶん居酒屋に…」
何時になく切羽詰まった様子のパックンに戸惑い、しどろもどろに答える。ナルの返事を聞くや否や、パックンは屋根板を蹴って駆け出した。
要領を得ない会話に焦ったナルが慌ててその背中に声を張り上げる。
「どうしたんだってばよぉ!?」
〈ヤバい事になっとるんだ!!〉
「何が!?」
振り向き様にパックンが答える。その返答に屋根の陰に潜んでいた者がピクリと反応した。
〈木ノ葉の五代目火影が…志村ダンゾウに決まった〉
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