反董卓の章
第21話 「それで……ぃい……」
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と、ともあれ…………確かに少し、落ち着くことは出来た。
「ふぁ、ふぁいどにょ……ふぁかりましゅたから、でをおふぁにゃしに……」
「お? おお、すまん」
祭殿が頬から手を離す。
……殴られるよりはよかったと、思っておくとしよう。
「んっ……失礼しました。確かに兵を纏めるほうが先、ですな」
「周囲の天変地異には確かに驚いたがの。だが、原因があの孺子ならば何が起こっても不思議ではなかろうが。雪蓮から聞いておるはずじゃぞ」
「……確かに聞いてはおりましたが」
宛での黄巾との戦闘時、邑一つを一夜にして文字通り血の海にさせたという話。
私が着いた時には全て終わっていたが……躯すらまともでなかったあの惨状も頷ける。
これが……天の御遣いの本性だとしたら。
「……………………」
雪蓮は、とんでもない相手を取り込もうとしている。
人ではない『モノ』を。
『やっぱ出遅れたわよねー』と言っていたが……それがよかったのではないかと、私にはそう思える。
こんな常軌を逸したモノを『飼う』など……
だが、これが呉の敵になったとしたら……
誰よりも、誰よりも恐ろしい敵になる。
それだけは……避けねばならないのかもしれない。
目の前で起こっているのは、それ程にすさまじい戦闘。
普段、雪蓮で見慣れている私にすら、残像のようにしか視えない二人の戦い。
互いが身に纏う『赤い氣』が軌跡となってその場でぶつかりあっている。
「……なんという氣か。儂らなど、足元にも及ぶまいて……」
祭殿の言葉に、その後ろにいた陸遜と甘寧がごくっと喉を鳴らした。
穏はともかく、思春ですらか……
アレと戦える可能性があるのは、恐らく雪蓮一人かもしれない。
あの狂乱状態になった、雪蓮ならば……
(――っ! 私は何を考えている! 雪蓮は孫呉の王! そんな匹夫の勇などは私が諌めねばならないであろうに!)
頭を振って自身を戒める。
そもそも前提条件がおかしいのだ。
あれはもはや鬼――いや、魔人、魔のモノだ。
そんな危険な相手に雪蓮をぶつけようなどと……それ自体が間違っている。
(倒すことが出来ぬのならば、利用するまで――)
まさしく雪蓮の言うとおりだ。
アレを取り込む……味方につけて利用すれば、天下すら獲れる。
雪蓮はそれを本能で……会った時に感じたのだろう。
(やはり、雪蓮こそが――そのために私がすることは――)
目の前で起こる人外の戦いを余所に、私は思考の渦の中で様々な状況を浮かばせては組み立てる。
そうしつつも口では兵を纏めるように指示を出す。
その時――
不意に、周囲の
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