反董卓の章
第21話 「それで……ぃい……」
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がいいかもなぁ……あんなのに巻き込まれたら、アタイら本気で死んじゃうよ。斗詩、ほら、斗詩! しっかりしなよ」
「え? あ、うん……」
斗詩は心ここにあらず、といった様子で相槌を打つ。
気持ちはわかるけど……
そう思った時、後方から高い怪音が鳴り響いた。
「!?」
思わずその方向を見ると、赤い筋のようなものが音を立てて空へと飛んで行く。
あれは……鏑矢かな?
音を出す、笛のような矢。
それが、赤い布か何かをつけたまま空へ放たれている。
「なんだ、あれ……」
後方ということは、麗羽様のいる本陣からだろうか?
それにしては矢が放たれた距離が近いような――
「なあ、斗詩。あれって一体――」
アタイが斗詩に振り向くも、斗詩はまだ呆然として前方の戦いを見ている。
ああ……こりゃどうしようもないわ。
アタイは嘆息して、周囲を見回した。
「しゃーない! 一旦、状況がわかるまで後退する! 混乱している兵を避け、麗羽様のところまで――」
そうアタイが叫ぶその時。
周囲の兵の一部が何を思ったか、前方の戦場へと移動しだした。
「ちょ! なにしているんだよ! アタイは後退しろって――」
……あれ?
あんな兵、うちにいたっけか……?
金色の鎧を身に纏いつつも、どこかうちの兵とは違う。
逃げ惑い、混乱する兵を掻き分け、それぞれが前線へと走っていった。
「……なんだ、あれ」
一瞬、嫌な予感がアタイの脳裏を掠める。
けど――
「……今はそれどころじゃない、か」
アタイは呆然とする斗詩を担ぎ上げ、周囲で混乱する兵を纏めるためにすぐにその兵達のことを放置した。
あれも混乱した兵の行動だと、切り捨てた。
けど、その事をアタイは……だいぶ後で後悔する事になるとは、この時思いもしなかったんだ。
―― 周喩 side ――
――危険だ。
すぐにも『アレ』を殺さなければ。
私はそう思って横にいた祭殿に振り向いた。
「祭殿! いますぐアレを――」
「落ち着け、公瑾。今はそれどころではな――」
「今のうちに殺さねば! 雪蓮が、呉が――」
「落ち着かんかぁ、バカモノッ!」
「――っ!」
祭殿が叫ぶと共に、私の両頬をその両手で挟むように口を塞ぐ。
「軍師は誰よりも不測の事態を考え、誰よりも冷静でならねばならぬ! 儂はそう言ってきたはずじゃぞ!」
「ふ、ふぁいどにょ……」
「あんなもの、策殿の狂乱した時とどっこいどっこいじゃろうが! 何を恐れるか!」
い、いや、雪蓮はあんなバケモノじゃ………………………………………………えーと。
うん、まあ、その
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