反董卓の章
第21話 「それで……ぃい……」
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左慈!」
「――っ、ちっ!」
「………………お主らが何かを企んでおるのは知っとるよ」
卑弥呼は溜息と共に、そうこぼした。
その言葉に、左慈も于吉も眼を細める。
「当たり前じゃろう? 目覚めぬだぁりん、一向に直らないアストラルリンク。そしてお主らの接触……疑うには証拠がありすぎじゃよ」
「………………」
「そう睨むでないわ。いつもなら大歓迎じゃがの……龍脈から目を離すと危険じゃぞ」
「………………」
于吉と左慈は、卑弥呼をしばし睨み――視線を何もない空間へと戻した。
何もない――否、龍脈の『核』とも言えるモノは、確かにそこにある。
その『核』の中では、この星の生命エネルギーとも言える『モノ』が確かに蠢いているのだ。
「だが、正直儂らはそれどころではない。この外史は先程も言ったが、奇跡的なバランスで形成されておる。その管理と、流入してくる『情報』――世界崩壊級の遺跡の処理で手が回らぬ」
「……それはありがたいですね」
于吉の軽口に苦笑する卑弥呼。
本来、卑弥呼は于吉や左慈とは、ほとんど接点がない。
表立って敵対しているのは貂蝉なのだ。
卑弥呼自身は、親しい貂蝉からの情報でしか二人を知らない。
「……まあ、主らは力も半分封印されておるし、だぁりん達への直接的な手出しは呪縛されておる。その上で歴史的な暗躍は認められておるでの……『上』の要請があれば、特例で歴史介入した外史もあったしのう」
「……俺は裏方だったがな」
「主が嫌がったのじゃろうが、左慈よ。『北郷のいない外史で道化役など御免こうむる』などと……まあ、儂らもだぁりんがいないから、ちょっとしか顔を出さなかったのじゃが」
「おかげで私一人が悪役でしたよ……まあ、楽しかったですが」
「あいかわらずのマゾ体質じゃの……まあ、それはともかくじゃ。お主らは限りなくグレーじゃが、それもこの世界の不確定要素の一つとして現状は処理されておる。とはいえ、今後もそうであるかどうかはわからぬがの……」
「……脅しか?」
ジロっと再び卑弥呼を睨む左慈。
その視線を受け、ポッと顔を赤らめた卑弥呼。
「っ! 何で顔を赤らめているんだ、バケモノめ……」
「カッカッカ! 見つめられると、ついの。まあ、忠告じゃよ。仮に目的を果たせても、その先には何もない。ただ虚しいだけじゃぞ? そしてお主らはさらに厳しい懲罰が与えられる……最悪、魂魄を永久封印されるかもしれぬ。たった一度……他に全く影響のない目的達成のために、そこまで危険を犯す必要がどこにある」
「……お前らには、一生わからん」
左慈はその言葉とともに、視線を逸らした。
その様子に再び溜息をつく卑弥呼。
そして反対側にいる于吉を見た。
「お主もかの、于吉よ」
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