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碁神
山口先生の前世はきっと神様か仏様。
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…なんて良い人なんだ……!
お礼を言って山口先生からコップを受け取り、冷たい水を一気飲みする。
……うん、少し頭痛が和らいだかな。

「ありがとうございます……! ところで、ええと俺の服なんですけど――」
「ああ……昨日椎名先生派手にリバースしましたからね……」
「え……」

目を見開き絶句した。

「流石にそのままでは寝かせられなくて……」
「ほ、本当に済みませんでしたっ! 何か山口先生の物を汚してしまっていたら弁償しまっ……」

大きい声を出したら頭に強い痛みが走り、言葉が中途半端に終わってしまった。

「大丈夫ですか? 椎名先生、二日酔いが重いんですから無理はいけませんよ。 私の物は特に汚れて無いので大丈夫です」
「うぅ……済みません……」
「ほら、もうそんなに謝らなくて良いですって。 それよりも昼食を作ったので良かったらご一緒しませんか?」
「はい……毎回ありがとうございま――昼食?」

昼食、昼食……今日土曜日だよな……何かあったような――あ!

「ええ、もう昼時なので……椎名先生?」
「山口先生……今、何時ですかね……?」
「ええーと、もうすぐ1時ですね」

忘れてた。 いや覚えてたけど忘れてた。
今日美鶴がうちに来るんだったー!
約束は12時、もう一時間も過ぎてる!

「済みませんっ、今日お昼に来客の予定が! お昼はご一緒できな――いだだ……」

ベッドから勢い良く降りようとして、頭の激痛に蹲る。
ああもう学習しろよ俺!

「……来客?」
「うぐぐ……はい、今日昼食を振舞う約束してて……急がないと……!」
「……椎名先生の手料理を? いいですねぇ。 もしかして、コレですか?」

おどけたように山口先生が小指を立ててくる。
恋人かって? ははは。
……そんな相手がいたら、どんなに、どんなに良いか……!
どうせ俺は年齢=恋人いない歴ですよっ。

「……残念ながら、男ですよ……。 ほら、囲碁部に指導しにきてくれた香坂美鶴――先生ですよ」

逡巡したが、美鶴との関係は話さないことにした。
別に秘密ってわけじゃないけど、まず詳しく説明してる時間が無いのと、詳しく説明したとして、俺と美鶴がライバルだなんて信じて貰えないかも知れないし、信じて貰った所で自慢だと受け取られたり、過剰に賞賛されたりするのが嫌だからだ。
つい一昨日まで明らかに初対面だった様子を山口先生は見ているし、どうせ山口先生は囲碁に興味が無い。 詳しく説明する必要は無いだろう。

「この間の囲碁の先生ですか。 でも何やら凄い先生なんですよね? 何故椎名先生の家に?」
「せっかくの機会なので、個人的に打って貰えないか駄目元で頼んでみたんです。 そういうわけなので、済みませんが――」
「椎名先生
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