第37話 ライダーズ・レジスタンス
[8]前話 [1]後書き [2]次話
「今、一番大事なのは、俺たちがインベスと手を切ることだと思うんだ」
チーム鎧武のガレージ。紘汰は拳を揮って熱弁した。
「インベスゲームの裏にそんな狙いがあったなんて……」
舞はもちろん、リカとチャッキーとラットも青ざめている。
――紘汰は先日、ヘルヘイムと呼ばれる森で知った事柄を、仲間に掻い摘んで話した。
光実のアドバイスもあったので、あくまで掻い摘んで、だ。重要なのは、自分たちビートライダーズ全てが大人の都合で利用されようとしているという部分なのだから、そこを強調して伝えた。
「このままだと、世間はインベスが起こした事件を全部、僕たちビートライダーズのせいだと思い込む。僕らがロックシードを使ったら、街の人たちに疑われる一方だよ。誰もステージに来てくれなくなる」
「その前に俺たちのほうでインベスゲームをやめて、他のチームもそうしてもらえるように説得したいんだ。そのくらいしないと、きっと信じてもらえない」
完全に信じてもらうのは難しい。何せ自分たちは、社会からある種ドロップアウトした人間の集まりだ。そのマイナススタートを、ゲームをやめるという誠意で補うしかない。
「でもっ! 実際あたしたちがゲームで使うインベスと、人を襲ったインベスは別物じゃないですか。あたしたち関係ないのに、そこまでしなきゃいけないんですか」
チャッキーが前に出て訴えた。後ろでリカとラットもうんうんと肯いている。
「誰もステージを観に来なくなったら、それこそおしまいだ。俺たちが踊る意味がなくなっちまう。チャッキー、俺たちはダンサーだよな?」
「そう、ですけど……」
紘汰も、光実も舞も、チャッキーもリカもラットも、皆がダンサーだ。誰かに観てもらいたくて踊っている。楽しいのだと、みんなに伝えたくて踊り続けている。その前提は守り通さなければならない。
意図が伝わったらしく、3人は黙り込んだ。
「ダンサーなら、踊るための努力は惜しんじゃいけねえと思う。今はこうするのが、俺たちの踊る場所を守ることに繋がるって、俺は信じてる」
横で光実も肯いた。紘汰は舞たちを見据え、答えを待った。
「――紘汰とミッチがそこまで言うなら、きっとそういうことなんだよね」
「舞」
「舞さん……」
「分かった。あたしだって踊れなくなるのはイヤだもん。やろう。インベスゲームをやめてくれるように、他のチームを説得してみよう」
舞の賛同を皮切りに、残るメンバーも肯いてくれた。紘汰は光実と笑って顔を見合わせた。
[8]前話 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ