第五章 StrikerS編
第百四十八話 『公開意見陳述会(6) レンの心の傷、癒しなす乙女』
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「………」
ついに思いの丈を言葉に出してしまった。
ギンガさんはただ無言。
僕は不謹慎にもギンガさんが無言でいる事に感謝してしまった。
「…親と故郷を無くしてから僕の心には虚無感がありました。
それを弱気な性格でさらに強固にして、でも同じ境遇のラン姉さんが一緒にいたから、僕はなんとか前向きに頑張ってこれた。
なのに、そのラン姉さんが捕まってしまって、相棒のアウルも…やられてしまって、僕の心は、木っ端微塵に折れてしまいました…」
「………」
思いの丈を表に出すたびに、さらに情けなさが粉となって僕の心に降り注ぐ。
でも言葉を続ける。
「…そして思うんです。僕は、ラン姉さん達のただの重荷なんだって…。いない方がいいんじゃないかって…」
「レン君…!」
パンッ!
ギンガさんに頬を思いっきり叩かれてしまった。
幻滅、されちゃったよね…。
でも、ギンガさんは叩いた後、僕の両頬に両手を添えてきて、
「情けなくたっていいじゃない? 重荷になったって、いいじゃない?」
「えっ…?」
少し意味がわからなかった。
でもギンガさんは言葉を続ける。
「重荷は一人で持てなかったのなら、みんなで持って支えればいいのよ。レン君の家族であるランも、シホさんも、アルトリアさん、ネロさんも………きっと嫌な顔をせずにレン君の重荷を一緒に背負ってくれるわ」
「で、でもこんなもの背負ってくれたって…!」
「…そう、後ろ向きにならないの。支え合う、それは家族として当然のことよ。
なら、レン君の重荷を背負ってもらう対価に、レン君がランやシホさんの重荷を背負えるようになろうとは思わない…?」
シホさん達の重荷を、僕が背負う…?
「それができたら、どれだけ嬉しいだろう…」
「それをただの夢で終わらせないのよ。ちゃんとした形にしなきゃ…」
「形に…」
「レン君なら、きっとできるわ。あなたは確かに弱虫だけど、それでもいいじゃない。
弱虫は弱虫なりに出来ることがきっと見つかるわ。
そして、もしそれでもまだ道に迷うことがあるのなら…」
ギュッ…。
「あ…」
「私が一緒に探してあげる…」
ギンガさんが僕を優しく抱きしめてくれながらそう言ってくれる。
それで僕はまた涙を流す。
でも、これは悲しい涙じゃない。
嬉し涙だ。
ギンガさんの優しさに僕の心は振るい出されるような想いに駆られる。
そしてなぜか胸が『ドキンッ!』と高鳴った気がした。
この気持ちがなんなのか、まだ分からないけど、もっと浸っていたい気分にさせられた。
「…僕は、まだ、頑張れるでしょうか?」
「レン君が諦めない限りね」
「はい…。少し、勇気が湧いてきました」
「そう。よ、かったわ…」
バタンッ…。
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