第五章 StrikerS編
第百四十八話 『公開意見陳述会(6) レンの心の傷、癒しなす乙女』
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ギンガさん!
俯かせていた顔を上げると、あの眼帯の女の子の攻防を無理やり切り抜けてきたのだろう、傷だらけのギンガさんが僕の前に走りながらやってきた。
ザッ!とブリッツキャリバーを滑らせて、その勢いのままに僕を抱える。
そしてその場を離脱しようとしているみたいだ。
でも…!
「ら、ラン姉さんが…!」
「…ごめんなさい、レン君。今はあなたを助けるだけが私の精一杯なの…!」
ギンガさんの悔しそうな声が聞こえてきた。
それで僕は反論の言葉は出なかった、出すことさえ許されなかった。
アウルヴァンディルが砕かれ、心も折れてしまっている今の僕は文字通り足枷、役立たず…それ以外の何者でもないのだから…。
「逃がさんぞ! IS、ランブルデトネイター!」
眼帯の少女が逃がすかと言わんばかりに迫ってきて、ナイフを数本放ってきた。
それで僕はなけなしの気力と魔力を振り絞ってアウルに集めて、
「ゴメン、アウル…! プロテクション!」
《…プロ、テク、ション…》
いつもの滑らかな音声が嘘のようにアウルはノイズ混じりの言葉を発する。
そしてすぐに見て分かるほどにヒビだらけのプロテクションが展開されて、でもナイフは少し止まっただけて、すぐにパリンッ!と砕けてしまい、そのうちの一本がギンガさんの背中に刺さってしまった!
次の瞬間、ギンガさんの背中で爆発が起こった。
「ああっ!? くっ、ウアアアアーーーッ!!」
ギンガさんの心からの叫びとともにウィングロードを駆け抜けて行き、なんとか撤退することが出来たのか戦闘機人の追っ手はこない。
それでもギンガさんは僕を壁際に下ろした後、そこら一体を念入りに目を配り警戒している。
僕はというと、アウルに目を落とし、さらに後悔の念に駆られてしまっていた。
アウルは先ほどのプロテクションで限界をとうに超えてしまったのだろう、プスプスと煙を上げて完全に沈黙してしまっていた。
「…ゴメンね、アウル…ゴメンね…」
反応を返してくれない相棒に、僕は涙を流しながら、それでも言葉をかけ続けた。
そしてギンガさんが少しして戻ってきた。
「…ッ、レン君…大丈夫…?」
ギンガさんは苦悶の表情をしながらも僕の事を心配してくれた。
「…はい…大丈夫、です」
「それは本当…?」
真剣な表情をしてギンガさんが僕の目をまっすぐ見つめてくる。
その綺麗な瞳に、僕のボロボロの心の内のすべてを見透かされてしまうと恐怖してしまい、目をつい逸らして下に俯いてしまった。
情けない…。
いつもラン姉さんやシホさん、アルトリアさんにネロさん…他にもいろいろな人達に強くなろう、って言い聞かされてきて、僕自身も必ず強くなろうって努力してきたのに、
「…僕は、やっぱり弱虫なんです…」
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