第五章 StrikerS編
第百四十八話 『公開意見陳述会(6) レンの心の傷、癒しなす乙女』
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「「はい!」」
狭い通路を駆け抜けて行った。
◆◇―――――――――◇◆
Side レン・ブルックランズ
「あ、ああ………」
目の前でラン姉さんがトレディの手によって倒されてしまった…。
その光景がどうしてもあの時の…僕とラン姉さんの村を崩壊させた時の男の姿とかぶってしまう。
まだ小さい頃に体験した恐怖、野良の魔術師の手によって故郷が壊滅させられてしまい、お父さんとお母さんも殺されてしまった…。
他にもたくさんの知り合いが殺されて行く様をこの目で見た。
でも、僕はもちろん、ラン姉さんもなにもできずに無力感を味わい悔し涙を流したあの悲しい記憶。
それからシホさん達と出会って保護責任者になってもらい、一緒に住むようになってから少しずつだけど心の傷は次第に癒えていった。
そしてあの悲劇な事件のような事をどうにかできる力…魔術とそれを扱うための勇気と知識を教えてもらった。
機動六課では仲間も増えて、力も付けてきて、心も体も強くなって成長してきている。
そう、思っていた、はずなのに…。
勘違いしていたんだ。
いくら力をつけても、心を覆っていたメッキが、僕が心の底から強くなろうと願わなければ、もろくなってすぐに剥がれて壊れてしまう定めなんだ。
こんな些細な事で僕の心の傷は再度開いて広がってしまい、弱気で泣き虫な姿の頃の僕に逆戻りしてしまった。
心の奥底から恐怖が芽生えてくる。
ラン姉さんを助けなきゃいけないのに、僕は…!
体が震えて、動けない!
そこに、
「チンク姉、トレディ姉! 援護しに来たぜ!」
「来たっスよ!」
そんな…!
新たに援軍が二人も増えるなんて!
どうにか、どうにかしないと…!
そう思って体を動かそうと思うのに、もう一人の自分が『諦めろ』と耳元で囁く。
「………さぁ、レンさん。あなたも私のもとに…」
「こ、来ないで…!」
トレディがそう声をかけてくるが、僕は恐怖から地面に手をつきながらも後ずさるしかできない。
「…なんだ、こいつ? 戦意が喪失してるぞ?」
「かっこうの獲物っスね」
「………仕方ありません。ランさんがやられてしまい、頼りの相棒も機能停止寸前…これは当然の結果です。
………二人とも、私はランさんを捕縛していなければなりません。お願いします」
「わかったぜ!」
「さっきの奴らに比べればちょろい仕事っス」
気絶させられているラン姉さんを武器の鞭で吊るしているトレディの代わりに、新たに現れた二人がジリジリと僕に迫ってくる。
なんて、無力なんだ、僕は…。
無力感と絶望に苛まれている僕は、このままラン姉さんと同じ末路を辿るんだ…。
でも、その時、
「諦めちゃダメよ! レン君!」
ッ! この声は、
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