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ストッパー
第二章
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つは」
「はい、大丈夫です」
 そして安武はその問いに太鼓判を押してみせたのだった。
「あれならすぐにでも」
「すぐにか」
「少し手入れが必要ですけれどね」
 しかしこうも述べるのだった。
「それでもです」
「わかった、じゃああいつはな」
 監督は彼の言葉を聞いて決断したようだ。声にそれがはっきりと出ていた。
「御前さんに任せるぞ」
「俺にですか」
「ああ、大投手にしろ」
 何気に高い要求を出してきた。
「御前さんの最初のコーチ稼業としてな」
「わかりました」
 安武も安武で。監督の言葉を受けるのだった。
「それではそういうことで」
「任せたぞ」
 こうして彼は大塚の教育係になった。そのうえでまず練習を終えた彼に対して近付き。静かに声をかけるのであった。
「終わったな」
「はい」
 見れば背も高く目が吊り上っている。口元が大きくはっきりとした顔だ。如何にも気が強そうでありそれがピッチャーとしてはいい感じに見えた。
「まだ投げられますけれどね」
「じゃあその分走れ」
「走るんですか」
「そうだ、まずは足腰だからな」
 これは野球の基本だった。これなくして野球はない。
「走れ。いいな」
「わかりました。じゃあ」
「走るのは苦にはならないか」
「ずっと走っていましたから」
 平気な顔で安武に答えてみせてきた。その態度がふてぶてしくもある。

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