第七十三話 帯の力その八
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中田はその女神達のところに来てだ、こう問うた。
「それでだけれどな」
「はい、貴方のことですね」
「貴方の戦いのことですね」
「ちょっとな、まずいことになってるんだよな」
心を笑み包んでの言葉だった。
「時間がな、状況が変わってな」
「そうなのですね」
「もう金が幾らあってもな」
それでもだというのだ、怪物達を倒して手に入るそれがだ。
「どうしようもないってな、お医者さんに言われたんだよ」
「では私達が出来ることは」
「あったら頼めるか?」
目は笑っていたがその奥には秘めたものがあった。
「あんた達にな」
「貴方の願いが適うなら」
豊香は言った、そして戦いから降りられるのならというのだ。
「是非」
「じゃあな、やり方を見つけてくれよ」
「そしてそれが見つかればですね」
「俺は乗るぜ、けれどな」
「けれど?」
「俺は絶対にどうにかしたいからな」
それでだというのだ。
「あんた達の方に頼るとも限らないぜ」
「お姉様にもですか」
聡美はその銀色の眉、髪の毛と同じ色で美麗なその眉を曇らせてそのうえで中田に対して言ったのだった。
「あの方とも」
「ああ、あの人がどうにかしてくれるのならな」
それならというのだ。
「俺はあっちに乗るぜ」
「私達ではなく」
「俺はどうにかしたいんだよ」
今も顔も目も笑っているが言葉は真摯なものが含まれていた。
「だからな」
「それで、ですか」
「俺はあんた達に乗るかも知れないしな」
「セレネー姉様の方にもですか」
「乗るかもな、幾ら戦いが嫌でもな」
それでもだった、今の彼は。
「俺はどうにかしたいからな」
「絶対にですね」
「そうさ、絶対にさ」
例え何があろうともだというのだ。
「俺は乗るさ。それじゃあな」
「今はですか」
「これで終わるさ、頑張ってくれよ」
女神達にエールは送る、彼女達の行動には悪感情どころか是非そうしてみたいと考えているからこその言葉だ。
「是非な」
「そうさせてもらいます」
「俺もこれで帰るからな」
そうすると言ってだ、そのうえでだった。
中田も場を去った、そして。
次の日彼は昼に上城と会った、大学のキャンバス内のベンチに二人並んで座りそのうえでお互いの話をした、その中で。
中田は高代の話を聞いてだ、笑顔でこう言った。
「へえ、養護学校か」
「八条グループが開校するそうです」
「それでその校長先生にか」
「先生が抜擢されるそうです、擁護教員の資格だけでなく介護士の資格も持っておられますから」
それでだというのだ。
「まだ若いですが熱意や能力も見込まれて」
「抜擢だな、あの若さで校長か」
「はい、そうなるとか」
「凄い話だな、けれど八条グループが出してくれるんな
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