幕間+コーデリア:王女のワルツ
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いの意思に踏みこみ過ぎず、それを尊重し合う様はまさに友誼の鑑ともいっていいだろう。コーデリアは図らずも父親の言葉を思い出した。いや、正確には偉大な姉君の、『友誼を忘れるなかれ』という言葉を。彼女等のようにありのままの自分を、社会や家庭に囚われない本当の自分を見せる事が、どれ程素晴らしい事か。
今、こうやって踊りの稽古と表して彼女等を呼び出しているが、それは過去の自分と比べれば考えられぬ程に積極性のある行為であった。爵位を翳してしまって彼女等を遠慮させてしまうのではないか。もしかしたら、変に気苦労をかけてしまうのではないか。そんな不安を抱いてきたのだが、いざ実際に交流を深めると、そんな不安など瑣末なもの以外の何物でもないと確信できた。『もっと早くに声を掛ければ。自分に自信を持っていたら』と考えてしまうのは、無理のない事とはいえ、少々情けなく思えてしまうのであった。
「それで、踊りの相手はどうするのです、王女様?キャロルで踊る方は、皆ペアが誰か決まっていなければなりません。男性なら女性が、女性なら男性が相手となる筈ですが」
「王女様が、ケイタク様に想い焦がれているのは存じております。あんな激しい逢瀬を交わされたのですから・・・。ですが、キャロルの時は別の相手を探さなければなりません。あの方は今、大事な任務のために北方へ行かれたのです。呼び戻す事など出来ません」
ユラとオレリアの指摘を受けて、コーデリアは鷹揚に頷く。それはまるで、『心配をするな』といわんばかりの余裕さをもったものであり、ユラは訝しげに首を捻った。
「誰か、当てがあるのですか?王女様が殿方の誰かと仲を親しくされているという噂は、聞いた事が無いのですが」
「・・・確かに、私はケイタクさん以外に親しい男性はそれほど多くはありません。クマミ様はそもそもキャロルには出席されませんし、執政長官も一応親しい部類には入りますが、私から誘うなど畏れ多くてできません。・・・ですが一人当てがあるとするなら」
「どなたです?」
「・・・女性なんです。ですが貴族階級の枠に入りますし、その方は男装が似合うような凛々しさをお持ちでいらっしゃいます」
「女性、ですか・・・?それはどなたでしょうか・・・」
どうやら、その者が男装をするという点には疑問は抱かないらしい。もしかしたら割と受け入れられている対策なのかもしれない。
その時、とんとんと部屋の戸が叩かれる。戸を開いて凛々し入って来たのは、赤髪のサイドポニーが特徴の、近衛騎士トニアであった。
「王女様。御呼びに預かり、トニア、参上致しました」
「あの方がそうです」
『・・・嗚呼、似合う』
「?」
異口同音の言葉に、トニアは解せぬといわんばかりに疑問符を浮かべた。その当然の反応にコーデリアは可笑しくなって吹いてしま
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