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王道を走れば:幻想にて
幕間+コーデリア:王女のワルツ
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細心の注意を払うかのように足を運んでいく。その初々しい所作にシンシアは微笑ましいものを感じながら、決して相手を動揺させないような優しい雰囲気で、踊りのフィナーレへと彼女を誘っていく。

「1,2の、3・・・」

 二人手を繋いだまま身体を離し、反対の手を大きく上手へと掲げる。シンシアがひょいと手を引っ張ると、コーデリアはくるりと回転しながら彼女の胸の中へと納まった。手拍子も最後の一泊を境にして打つたれなくなった。互いの足を踏む事も無く、舞踊は無事に終幕を迎えた。
 コーデリアは少し荒げた息でシンシアから離れる。慣れぬ踊りのせいで足の裏を痛めてしまったようで、少々歩き難そうにしていた。シンシアがすぐにそれを察する。

「一端ここで休憩と致しましょう。長くやってしまうと、足に豆が出来てしまいますわ」
「分かりました。・・・ああ、有難う。タオルを渡してくれて」
「いえ。王女様のためですから」

 オレリアの気遣いに礼を述べて、コーデリアは椅子に座り込んで顔や首の汗を拭いていく。疲弊を露わにする自身とは対照的に、シンシアは汗一つ掻かず自然体のまま呼吸を落ち着けていた。やはり、貴族の令嬢たるものはどこでも優雅でいなければならないのか。自分もその一人であるのに全くそれを熟せていない。経験による差をまざまざと見せつけられるようで、コーデリアは自分の努力の怠りを痛感した。
 気さくな友人らを頼っての舞踊の練習は、一先ずの休息を迎えていた。コーデリアは友人らに向けて穏やかな笑みを向けた。

「今日は手伝ってくれてありがとう、シンシアさん、ユラさん、オレリアさん。あなた方の御蔭でとても気を楽にして練習が出来ます。声を掛けてみて良かった」
「お褒めの御言葉、大変恐縮です。私共は王女様の一助になれた事を誇りに思いますわ。ねぇ、オレリアさん?」
「はい。王女様の踊りが更に麗しく、美しくなるかと思いますと、手助けせずにはいられませんでしたの」

 ユラとオレリアの言葉を受けて、コーデリアはくすりと照れた笑みを漏らす。シンシアはコーデリアの傍によると、その足をじっと見下ろす。

「・・・少々、足が強張っておりますね。休憩の時間を伸ばして、足の様子を見ましょう。大丈夫なようでしたら再開いたします」
「ありがとう、シンシアさん」
「ふふ。キャロルの際にでもフォロー致しますよ。ユラさんは歌を、オレリアさんはリュートを選ばれましたから、当日直接手助けできるのは私だけですもの」
「その分、責任も重大ですわね」
「ええ、そうね。でもオレリアさん、あなたも責任重大よ。何せキャロルの踊りはあなた達、弦楽隊のリードに合わせて始まるのだから。緊張して弦を切ったりしないようにね」

 年齢や家の爵位に関係なく軽口を叩く姿は仲の良さを窺わせており、それでいて互
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