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虹の軌跡
第三十九話

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右足でマウンドを二回叩き、左腕を一度小さく回す

これが、啓一の『決め球』を投げるサインだった


虹太郎
「(確か『アレ』は制球力が難しいって言って、去年諦めたはず。もしかして、遂に身に付けたのか?)」

半ば不安を覚えながらもミットを構える虹太郎

狙いはど真ん中よりほんの下

いや、154cmと言う小柄なはじめから見ればど真ん中と大差はない


そして、トルネード投法を取る啓一

しかし、ここからが違った

啓一はその捻った体勢からサイドスローではなく、オーバースローで投げたのだ

はじめ
「(最後の最後でオーバースロー?渾身のストレートか?でも真ん中なら…)」

流し打つようにタイミングを合わせ、バットを振るはじめ

しかし


フッ


ブン


はじめ
「なっ…!?」


バットは球に当たることなく空を切った


??? 140km/h
空振り


勝者 潮見啓一
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