第3話
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問答でも説教でもなく合戦である!説教は義元を討ち取った後にいくらでも聞いてやる!持ち場に付けぃ!」
勝家、長秀「「ははっ!」」
信長「さて、では行くぞ!勝負は二度あらじ!目指すは義元の首一つ!」
一忠「ひぃー!」
良勝「こら…小平太うるさいわよ。見つかったらどうするの?」
一忠「だって…雷様が怖いんだもん!仕方ないだろう!」
良勝「武士のくせに雷様が怖いなんてバカじゃないの?雷様より武功を上げられないことを怖がりなさいよ」
一忠「わかってるけど…怖いもんは怖いんだよぉ…」
雨が降り始めてから雷が鳴り止まず、今川軍は織田軍の本隊がもう目前に迫っている様子であるというのに、それに全く気付いていない様子。そしてその前線にいるのが先程から雷を怖がっている服部小平太とそれをなだめている毛利新介。二人は茂みに隠れながら慌ただしく動く今川軍に徐々に近付いていく。
良勝「この戦に勝たなくちゃ、殿様の…久遠様の命だって危ないのよ。今までのご恩を返す好機なんだから、しっかりしなさい」
一忠「わ…わかってるよ。ここが死に場所だって心得てる…でも雷様が怖いのは怖いんだよぉ仕方ないだろぅ…」
良勝「シッ」
不意に新介がしゃべるのを辞め、息を殺すよう小平太に促し、茂みの向こうを指差す。
良勝「居たぁ…」
一忠「え?どこどこ…?」
良勝「ほら…あの一際大きな木の根元…雨を避けてるんでしょうけど…」
その視線の先には…
良勝「胸白の鎧に金の八龍を打ちたる五枚兜…それに赤字の綿の陣羽織を枝に引っ掛けてある…当たりね…」
なんと今川義元があろうことか鎧を脱ぎ、丸腰の状態で休憩していたのだ。
一忠「うへぇ…戦場なのに鎧脱いでんのかよ…まぁこうもムシムシ暑くてこんなジメ〜っとしてるし気持ちはわかるけどさぁ…」
良勝「私たちのことを尾張の弱兵だと思って侮ってるのでしょうね。まぁでも全軍緩みきってる今が好機かも」
一忠「行くのか…?壬月様か、麦穂様に連絡したほうがよくねぇ?」
良勝「後続を待ってたら、打ち取る時期も逃してしまうわ。それに武功は独占するものよ。呼子を鳴らして一気に義元公を討つわよ」
一忠「はっ新介も言うねぇ。だけど…そういうのも嫌いじゃないよ。よぅし、新介の案に乗った!」
良勝「だから静かにしなさいっての…!二人ならどうとでもなるわ…行くわよ…小平太」
一忠「応よ!」
良勝「行くわよ…1…2…3…今よ!」
すると2人はバッ!茂みから飛び出し、呼子を鳴らし名乗りを上げる!
良勝「織田上総之助久遠信長が馬廻り組組長、毛利新介良勝参候!今川治部大輔とお見受けいたす!」
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