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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
03.嘆きの剣巫
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真祖の力。いいでしょう──アスタルテ! 彼らに慈悲を」
「──
命令受諾
(
アクセプト
)
」
殲教師の命令に従って、
人工生命体
(
ホムンクルス
)
の少女が立ちはだかる。
小さな身体から。虹色に輝く半透明の巨大な眷獣が揺らめく。今はもはや腕だけでなく、ほぼ全身が出現している。それは体長四、五メートルほどの巨人。
宿主である少女を身体の中に取り込んで、人型の眷獣が咆哮する。
「てめえも大人しく従ってんじゃねえェ──ッ!」
雷撃をまとった拳が、ゴーレムへと殴りかかる。
「ダメです、先輩!」
その光景を目にした瞬間、雪菜は思わず叫んだ。
次の瞬間、古城が閃光に包まれ吹き飛ぶ。
「ぐ……あっ!」
古城がアスタルテの眷獣を殴りつけた。それなのに飛ばされたのは、逆に古城。
倒れた古城の全身が、白い蒸気と、肉の焼けるような臭い。
まるで雷に打たれたような──古城自身の魔力が逆流したかのように。
「先輩っ!」
倒れた古城を庇うように、雪菜が槍を構えてアスタルテへと突撃。
銀色の穂先が青白い閃光に包まれる。
真相の眷獣をも滅ぼし得る、降魔の聖光。いかなる魔族の権能をもってしても、この槍の一撃は防げない。防げない──はずだった。
「雪霞狼が……止められた!?」
槍から伝わる異様な手応え。
雪霞狼の刃がアスタルテを包み込む人型の眷獣にわずかに触れたところで止まっていた。あらゆる魔族の結界を貫くはずの槍が、完全に動きを止められている。
前回の戦闘でも似たような手応えを感じた。
アスタルテの眷獣“
薔薇の指先
(
ロドダクテュロス
)
”の表面が、雪霞狼と同じ光に包まれている。
「共鳴……!? この能力は……!」
「そうです、剣巫よ。魔力を無効化し、あらゆる結界を切り裂く“
神格振動波駆動術式
(
D O E
)
”──世界で唯一、獅子王機関が実用化に成功していた、対魔族戦闘の切り札です。貴方の戦闘データを参考にして、ようやく完成させることができました」
雪菜は激しい動揺しながら、アスタルテの反撃をかろうじて凌ぎ続ける。
「そんな……わたしのせいで……」
戦意を失った雪菜は、完全にアスタルテに圧倒される。
未完成とはいえ、第四真祖、暁古城の魔力を弾き返せるほど。
虚ろな表情を浮かべる雪菜の前で、オイスタッハが戦斧を掲げる。
「さらばだ、娘。獅子王機関の憐れな傀儡よ──せめて魔族ではなく、人である我が手にかかって死になさい」
「……っ!」
殲教師の攻撃に気づくのが遅れた雪菜。反応したときには、分厚い戦斧の刃がすでに眼の前に。
攻撃を交わすことも受け止めることも不可能だと悟り、雪菜は覚悟を決める。衝撃
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